フリタージュの世界観
G・シューベルはフリタージュ研究において一つの大きな命題を残している。それは地表面の生物圏(バイオスフェア)では生体反応に基づく生物学的元素転換が中心的な役割を果たしており、地球内部の岩石圏(リソスフェア)では高圧による微量エネルギー元素転換(彼の言葉では原子核パリンジェネシス)が各領域で作用しているというものである。
ケルヴランやドクターはこの前者の研究に取り組んできたわけだが、G・シューベルの大きな功績の一つはこのようなフリタージュの世界観の確立を構想したところにある。しかしまだそれは完全に実証されたとはいえない。
たとえばマントルの最下層部のD''層に観察される地震波の異常はポストペロブスカイトという鉱物の相転移が原因とする仮説が最近提唱されているが、これもフリタージュ反応によって解釈することができるかもしれない。
具体的には、ポストペロブスカイト(MgSiO3)が酸素クラスターと核融合することによってペロブスカイト(CaTiO3)に転換していると考えると非常に合理的である。
G・シューベルの残した半世紀前の命題はいまだに大きな示唆を含んでいるものと思われる。
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