マンガン団塊とフリタージュ
2020年にヴィソツキー博士は「海洋における低エネルギー核反応に起因する鉱床に含まれる鉄同位体の形成作用」という論文を公表している。
これまでにドクターは微生物による様々な元素転換反応を実験的に検証してきた。しかしこの論文では異例なことに地質学におけるフリタージュ反応の実在を提起している。具体的には互層状の鉄マンガン鉱床やマンガン団塊をその対象として取り上げ、元素転換反応に基づく成因の解明を試みている。
たとえばマンガン団塊は中低緯度地域の海洋底に多く分布しており、水温の低い極地方にはほとんど存在しない。そこでドクターは海洋微生物のフリタージュ反応によってそれらが形成されたと考察している。
たしかにマンガン団塊はマンガン酸化菌や古細菌が成因とも考えられているが、重要なことはマンガンの同位体が一種類なのに対して鉄には複数の同位体が存在することである。マンガン団塊に含まれる鉄分の同位体比をフリタージュ反応のプロセスによって説明できるかが鍵になるだろう。
マンガン団塊はかつてケルヴランやG・シューベルも研究対象として注目していた。その事を全く知らないドクターが同じ見解にたどり着くことは、志のある者どうしの奇遇の一致と言えるかもしれない。
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