ケルヴラン・ボロトフ反応
少し前に知ったことだが、最近何人かの研究者の間でケルヴラン・ボロトフ反応というものが話題になっているらしい。これは酸水素ガスなどによる金属燃焼に生じるとされているが、具体的にはアルミニウムと窒素が融合してカルシウムが生成されるという反応である。
これは1996年にB・V・ボロトフという人物が自身の著作の中で提唱したものらしいが、その詳細については今のところ不明である。
『生物学的元素転換』には元素転換反応に関する四つの回路が提示されているが、ケルヴランの著作や論文には Al+N=Ca という反応式はないので、そこに付け加えるつもりはない。また窒素は通常分子の状態で存在するので、窒素原子が核子クラスターとして機能することも考えにくいことである。
もう一つの問題は、アルミニウムは同位体が一種類だが、カルシウムには複数の同位体が存在する。つまりケルヴラン・ボロトフ反応が生じるとカルシウムの同位体比は変化するはずである。しかしこの反応に言及している論文ではそこまでの検証は行なわれていない。
ケルヴラン・ボロトフ反応が普遍的に起こりうるなら、たとえばマグマに含まれる窒素成分のガスがアルミノ珪酸塩鉱物と反応して石灰岩を形成する可能性も考えられる。地質学的な検証としては、アルミニウムの原料のボーキサイト鉱床に付随する石灰岩のカルシウムに同位体比の異常が観察されれば研究する価値はあるかもしれない。
フランスの地質学者B・シューベルは岩石に含まれるマグネシウムとアルミニウムの相関性を提起したが、この問題についての見解を尋ねてみたいものである。
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