『原子核パリンジェネシス概論』
G・シューベルが1952年に公表した論文「花崗岩の起源と原子核物理学」の翻訳がようやく完成の時を迎えた。この論文は比較的初期のものだが、原子核パリンジェネシス仮説について包括的にまとめられたものであり、その思想的原点ともいえる重要性をもつものである。
この論文はG・シューベルが局長を務めていた『モロッコ地質調査局紀要』に収録されたものだが、きわめて難解な内容であり、翻訳にはかなりの年月が費された。
翻訳を開始したのは2004年11月だが、他のフリタージュ・ブックスの制作のために何度か中断を余儀なくされた。結果的に16年かかったわけだが、それだけに完成の喜びもひとしおである。今は亡き偉大な地質学者もどこかで喜んでくれているだろう。
しかしこれで終わりではない。G・シューベルは原子核パリンジェネシスに関する論文をいくつか残しており、特にユネスコの国際会議で公表されたものは120ページに上る大作である。これらの論文を全て翻訳すると合計で300ページを優に超えるだろう。さらにその内容に関する裏付け調査も必要になる。
それはかなり困難な作業だが、フリタージュ研究について価値ある仕事であることは間違いない。その完成の暁には『原子核パリンジェネシス概論』三部作としてまとめてみたいと考えている。たどり着いた山の頂点からは雄大な景色が眼下に広がるばかりである。
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