鬼は内にあり
2月3日、NUMO(原子力発電環境整備機構)による「科学的特性マップに関する対話型説明会」が倉敷市の芸文館で開催された。倉敷芸文館は図書館やギャラリーに立ち寄る際に利用する私の庭である。地下駐車場に車を停めて会場に向かい、受付でスマホの予約画面を見せると「電力関係の方ではないですね?」と職員が確認してきた。
NUMOの説明会については以前に参加者に謝礼を渡したという疑惑が報じられている。それ以降あまり報道されなくなったのはメディアの自主規制なのか、それとも何か大きな力が働いたのだろうか?
会場の参加者は報道関係者を除くと10名ほどだった。会場内での撮影や録音は禁じられていたので休憩時間に会場の外で写真を撮った。
説明会の前に職員に勧められて地層埋設処分に関するVR動画を見た。それはNUMOのオリジナルではなく、同じく地層処分を進めているスイスのプロモーションビデオだった。
説明会自体はパワーポイントによる使用済み核燃料のリサイクルや処分場の具体的な立地イメージなどの解説が主な内容だった。すでにフィンランドやスウェーデンでは最終処分場が選定されており、地層処分はグローバルスタンダードであることが強調されていた。
その後、参加者とのディスカッションが行なわれたが、日本学術会議の提言の解釈などを巡って議論は紛糾した。フィンランドではすでに処分場の建設が進められているが、それは結晶片岩を主成分とするバルト楯状地が地質学的に安定しているからであり、北海道から九州まで至る所で地震が生じる日本列島の地盤とは大きく異なっている。またそれ以外の国々は日本と同様に処分場も決まっておらず、とてもグローバルスタンダードとはいえない現況である。
ドクターの研究も福島の汚染水の処理には応用可能だが、高レベルの核廃棄物の処理については未知数である。『未来のフリタージュ』に収録されているS・フェイレ博士の研究はその意味で再評価されてよいと思われる。
折しもこの日は節分だった。「鬼は外、福は内」という言葉は安寧を願うものかもしれないが、魂という文字に鬼が含まれていることを忘れてはならない。しかり、鬼は常に内に在るものである。
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