V・V・ドドノフの理論
さて少し余興が過ぎたようだが、ここでドクターのCCS理論を再考することにしよう。
CCS理論についてはこれまでのフリタージュ会議におけるドクターの講演、そして『未来のフリタージュ』の中でその概要が示されているので、ここでそれを繰り返すつもりはない。しかしCCSはドクターが着想した概念ではなく、もともとはロシアの物理学者V・V・ドドノフが1980年代に展開した理論がベースになっている。
ロシアの研究機関、レベデフ物理学研究所が1993年に発行した研究論文集『量子系におけるスクイーズド状態と相関状態』には、V・V・ドドノフとA・B・クリモフによる論文「量子的相関状態における物理的効果」が収録されている。
この論文の中でドドノフは、専門である量子光学の観点から理論的検討を行なっているが、相関状態にある波動関数としてのガウス波束の分散とポテンシャルバリアーの通過、および相関係数を含む有効プランク定数が結論的に導き出されている。この記述内容はCCSに関するドクターの論文にそのまま引用されており、ドクターが付け足したことといえばポテンシャルの膨張・収縮にともなうトンネル効果のシミュレーションだけである。
問題となるのは量子論のお遊びではなく、実際にCCSが現象化されうるのか、そしてフリタージュ反応のメカニズムとして機能しうるのかという点である。これについて次に検討してみよう。
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