ウィドム・ラーセン理論とフリタージュ
A・ウィドムとL・ラーセンが常温核融合のメカニズムを説明する新しい理論を提示したのは2005年のことである。このウィドム・ラーセン理論は、ある種の金属に生じる表面プラズモン共鳴によって特殊な性質をもつSPP電子(表面プラズモン・ポラリトン)が生成され、それが陽子と結合することによって生じるULM中性子が特定の元素の原子核に吸蔵されることにより、核変換が生じるというシナリオを原理的な軸としている。ウィドム・ラーセン理論の最大の特徴はベータ壊変の逆の反応プロセスによってクーロン・バリアーの問題を巧妙に回避している点にある。
この理論の提唱者の一人であるL・ラーセンは2010年12月に一つのレポートを公表している。それはウランの同位体比の異常はバクテリアの低エネルギー核変換によるものであり、そこにはウィドム・ラーセン理論の反応プロセスが生じていると主張しているのである。
もしこのラーセンの主張が正しいのであれば、たとえばガボン共和国のオクロで発見された「天然原子炉」も実は中性子連鎖核反応ではなく、バクテリアによる元素転換反応によるものだったという可能性も考えられる。その意味でラーセンの主張はわれわれフリタージュ学派に好意的なものとも言えるだろう。
そしてこのレポートの中でラーセンは、ドクターが行なったメスバウアー実験についても記述している。その内容について少し綿密に検討してみることにしよう。
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