乖離する研究
CCS理論の検討を行なう前に、常温核融合と生物学的元素転換の関係性を踏まえておく必要があるだろう。常温核融合を低エネルギーで核変換が生じる現象と定義するなら、フリタージュ反応は生物組織におけるコールド・フュージョンと言えなくもない。現にドクターはそのような観点の下に両者に共通するメカニズムとしてCCS理論を提起している。
しかし私に言わせると、この認識自体が完全に間違っているのである。低エネルギーで核反応が生じるという共通項だけでコールド・フュージョンとフリタージュ反応を同一視することは底の浅い人間の妄想に過ぎない。常温核融合とフリタージュには理論的にも実験的にも共通する部分は何一つ存在しないのである。
たとえば常温核融合ではいくつかの理論が提起されているが、それらはいずれも個々の実験データにしか適用できない不完全なものであり、コールド・フュージョンの包括的な解釈を提示しえないものである。
それが故に自分の理論の優位性を示すために生物学的元素転換への応用性を主張する者もいる。たとえばTNCFモデルやウィドム・ラーセン理論がそれに該当するが、これらはいずれもフリタージュ反応の理論的解釈には全く役に立たない代物である。
思考回路の単純な物理学者は自らの物理学的知識で宇宙も素粒子も生命も説明できると安直に考えているようだが、真理を追究する志があるなら、もう少し謙虚に自分の知らないことを学ぶ姿勢がほしいものである。
常温核融合の理論がなぜフリタージュ反応に適用できないのか、その顕著な一例としてウィドム・ラーセン理論を検討してみよう。
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