トリチウムのフリタージュ
福島の汚染水の処理について先日公聴会が開かれたが、明確な方針決定は示されなかったようである。あまり政治的な話題にコメントするつもりもないが、政府としてはこれで国民の声は聞いたというスタンスなのだろう。あとは既定路線に沿って事を進めるばかりである。愚かな国民がオリンピックにうつつを抜かしている間に小さな穴をあければ、そこから全てが崩れてゆくだろう。
政府にとっては福島の風評被害よりはむしろ海外からの反応を気にしているようである。手順を踏まずに汚染水を放出すれば韓国や中国からここぞとばかりに叩かれる。それでなくとも日本の原子力行政はプルトニウムの過剰保有でIAEAや国際社会から目を付けられている。いかに国民の目を欺き、海外からの批判をかわす策を講じるかが喫緊の課題といえるだろう。
汚染水に含まれているトリチウムの処理については近畿大学工学部で除去技術が開発されているようだが、大規模な形での実用化にはもう少し時間がかかるようである。しかもそれはトリチウムの放射能自体をなくすことはできない。
トリチウムの問題については仙台でフリタージュ会議を行なった後にホテルの地下の寿司店でドクターに質問したことがあるが、やはり実験的に検証されていないこともあり、明白な結論は得られなかった。これもまた先の空白領域の問題の一つ、すなわち核子クラスターの特異性に関連する重要なテーマであることに間違いない。
私個人の見解としては、たとえばメスバウアー実験で鉄57が生成されたように微生物が特定の元素を必要とする反応プロセスを設定すればトリチウムを元素転換させることは十分可能だと思われる。つまり生成される元素から逆に培養条件を決定するという方法論である。
しかし政府や省庁の人間は私たちの提案に耳を傾けることはないだろう。はたして彼らがどのように自分たちのやり方を押し通すのか、私も愚かな国民の一人として見つめていきたいと考えている。
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