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2018/07/26

生命の核融合

私たちの体の中には腸内細菌を初めとする様々な微生物が生息している。これらのマイクロバイオームもMCTのような共生状態を確立して生体活動に必要とされる元素転換反応を生じていることは想像に難くない。いわば新しい元素を生み出す太陽が無数に広がる細胞の中で光り輝いているようなものである。しかし生命の核融合をもたらす「視えない太陽」は一体どこにあるのだろうか?

まず結論的な前提として、様々な検証実験を行なわない限り、フリタージュ反応の具体的なメカニズムを生体組織の中に見出すことは不可能である。しかしそれがチャクラや経絡のような存在でなければ、必ず実体的な生体システムとして構築されているはずである。そしてそれはこれまでに導かれたフリタージュ反応の公理や条件を自証するものでなくてはならない。

ここでいま一度ケルヴランとヴィソツキー博士の論点を対比してみることにしよう。ケルヴランが提唱した元素転換説は、一部の例外を除いて比較的軽い元素が水素や酸素といった核子クラスターと融合する反応がメインだった。その実験手法としては非定常収支と呼ばれる定量測定の比較が行なわれ、元素転換のメカニズムは未知の酵素による原子核レベルの酸化還元反応と説明されていた。

一方、ヴィソツキー博士の研究は鉄やセシウムといった比較的重い元素が対象であり、核子クラスターという概念は成立していない。その実験にはメスバウアー分光法や質量分析が使用されており、CCSという特殊な量子プロセスによって生体系におけるコールド・フュージョンが生じるものと解釈されている。

この両者の論点についてはすでにフリタージュ・ブックスでも検討されているが、もう少し別の角度から考察を深めることにしよう。

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2018/07/15

MCTによるメスバウアー実験

ヴィソツキー博士は大腸菌や酵母だけではなく共生培養菌のMCTを使用してメスバウアー実験を行なっており、その論文は『生体系における同位体の元素転換と核融合』に収録されている。その実験結果によると、MCTによる元素転換反応によって乾燥菌体1g当たり9.45×10^-5gの鉄57が生成されたという。

ここで少し簡単な計算をしてみよう。鉄57の原子質量単位は56.9353983uであり、1u=1.66053873×10^-27kgである。すると鉄57の原子1個の質量は9.4543431×10^-23gになり、9.45×10^-5gの鉄57の原子数は10^18個、すなわち100京個に相当する。

MCTの実験期間は20日なので、1日に生成された鉄57の原子は5京個、1時間では2083兆3333億個、1分では34兆7222億個、1秒当たり5億7870万3700個の鉄57の原子がわずか1gの微生物の中で生成されたことになる。つまり1秒間に数億レベルの元素転換反応が生じているということである。

にわかに信じられないこの事実が示していることは、鉄57は偶発的に生成されたのではなく、微生物が特定の目的の下に組織的かつ継続的にフリタージュ反応を実現させるシステムを構築したということである。

問題はそのようなシステムがどこに存在するのかということだが、これまでの知見を踏まえて検討してみることにしよう。

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2018/07/06

三つの分岐路

大腸菌の鉄応答レギュレーターFurからマンガンのレギュレーターMntRにフィードバックシグナルが送信されて元素転換反応が生じたと仮定しよう。それは一体どこで、またどのようなプロセスで生じたのだろうか?これには大きく分けて三つの可能性が考えられる。

(1)細胞の外部でシデロフォアがマンガンをキレート化してフリタージュ反応を生じ、そこで生成された鉄57がシデロフォアのレセプターから吸収された。
(2)細胞膜のペリプラズム領域のレセプターにおいてマンガンと重水素が融合して鉄57が生成された。
(3)細胞内部のオルガネラにおいてフリタージュ反応が生じて鉄57が生成された。

いずれの可能性も実験的に検証することは必要だが、(1)の可能性はかなり低いと思われる。

シデロフォアは「鉄を運ぶもの」を意味するギリシャ語だが、Fe3+以外のイオンとの親和性は非常に低い。シデロフォアと結合したトランスポーターはペリプラズム領域でFe3+をFe2+に還元して細胞内部に誘導するが、生体組織が本来必要とするFe2+もシデロフォアとの親和性が低いのは進化の皮肉と言えるだろう。
したがってFe3+をキレート化する能力に特化されたシデロフォアがMn2+をキレート化する可能性はかなり低いものと考えられる。

それでは(2)と(3)の可能性はどうだろうか?拙速に立論を進めるのではなく、しかるべき迂回策を講じることにしよう。

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