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2018/06/19

シデロフォアの遺伝子クラスター

メスバウアー実験に使用された培養基には鉄分がほとんど含まれていなかった。そのため大腸菌も酵母もシデロフォアを合成して鉄イオンを獲得しようとしたはずである。

ちなみに大腸菌はエンテロバクチン、酵母はフェリクロームというシデロフォアを生合成するが、エンテロバクチンはカテコール型であり、フェリクロームはヒドロキサム酸型である。つまり大腸菌と酵母のシデロフォアを合成する遺伝子クラスターにはゲノム的相同性はないものと考えられる。

大腸菌の環状染色体にコードされているエンテロバクチンの遺伝子クラスターはFur (Ferric uptake regulator) という転写因子によって制御されている。

DNAに含まれている情報が遺伝子として機能するためには情報の転写・翻訳というプロセスが必要である。DNAのプロモーター領域に結合したRNAポリメラーゼは塩基配列の情報を転写して、それをリボソームで翻訳し、蛋白質合成プロセスに置換している。これが分子生物学でいうところのセントラルドグマである。

大腸菌のような原核生物では微量元素、すなわち各金属イオンに特異的に応答するシステムが確立されており、Furは細胞内の鉄濃度をモニターして遺伝子クラスターのプロモーターを制御している。つまりシデロフォアとその外膜レセプターもFurによる構造遺伝子の情報転写によって生合成されているのである。

しかしメスバウアー実験ではシデロフォアを合成しても鉄イオンを吸収することはできなかった。はたしてそこで何が生じたのだろうか?

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