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2017/09/19

ミディ・クロリアンとフリタージュ

映画『スターウォーズ』の近作にはミディ・クロリアンというものが出てくる。このミディ・クロリアンは細胞に共生する知性をもった微生物であり、それが細胞内に数多く含まれていると<フォース>と呼ばれるエネルギー場をコントロールすることができるという。このミディ・クロリアンがいわゆるミトコンドリアをモチーフにしていることはつとに知られている。

ミトコンドリアとフリタージュ反応の関係性については『未来のフリタージュ』に記述しているので、ここで改めて触れるつもりはないが、共生進化論の観点から見ると興味深い点が浮かび上がってくる。
もともとミトコンドリアはαプロテオバクテリアであり、葉緑体はシアノバクテリアに由来している。それらが動物や植物の細胞と共生するようになって真核細胞は多細胞生物へと進化していった。そしてミトコンドリアによって私たちはエネルギー分子のATPを作り出せるようになり、植物は光合成を行なえるようになったのである。

ところがこの原核細胞から真核細胞への進化には一つの矛盾が存在する。いわゆる蛋白質の合成に関与しない非コードDNAが増加し、ゲノムサイズが格段に巨大化したのである。これはいわば単純な機械が複雑なメカニズムへと進化したともいえるのだが、それと同時に全く機能していないジャンクゲノムも増殖しているのである。

ゲノムサイズが大きくなるということは細胞分裂の時間もエネルギーもそれだけ余分に必要になり、生体組織の効率化という観点からも好ましくない。またDNAの複製プロセスにおいてもミスコピーの確率が高くなる。

そのような矛盾を孕みつつ細胞レベルにおける共生進化が行なわれているということは、私たちが気づいていない何か重要な理由が存在するのだろう。おそらくそれは細胞のDNAとミトコンドリアのDNAとの遺伝子レベルの共生化作用であり、それこそが元素転換反応という<フォース>を覚醒させるものなのかもしれない。

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2017/09/07

マクロコスモスとミクロコスモス

リン・マーギュリスという生物学者の名前を聞いたことのある人はそれほど多くないかもしれない。しかし天文学者カール・セーガンの妻と聞くと少しは関心も芽生えるだろう。

リン・マーギュリスがカール・セーガンと結婚したのはシカゴ大学在学中の1957年のことであり、彼女は若干19才の学士だった。その後、夫のセーガンがマクロコスモスの研究を進めていくのとは対照的に、マーギュリスは微生物や細胞といったミクロコスモスの探究を深めていった。
そして1967年に「有糸分裂細胞の起源」という論文を公表する。それは異なる細胞が融合して共生進化するという学説、連続細胞内共生説を提唱するものだった。

それまでの進化論はいわゆるネオ・ダーウィニズムと呼ばれ、たとえば氷河期のような厳しい気候変動に適応する能力をもつものだけが生き残るという適者生存を原則とするものだった。それはいわば競争社会を生き抜く男性的な視点である。

しかしマーギュリスの説く細胞レベルの共生進化論は、原核生物と光合成細菌やミトコンドリアが共生関係を構築することによって光合成を行なう植物や私たち人間のもつ真核細胞が形成され、環境条件の変化に適応進化してきたのだという。これは競合ではなく共生関係を重視する女性的な視点に基づいた進化論である。

この共生進化論がフリタージュとどのような関係性をもつのかを今後検討していきたい。

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