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2017/08/06

ポーリングの仮説

ライナス・ポーリングはノーベル賞を2回も受賞したアメリカの生化学者であり、分子構造解析のスペシャリストである。『MRETウォーター・サイエンス』におけるヴィソツキー博士の立論も基本的にはポーリングのクラスレート・モデルを踏襲している。

ポーリングがクラスレート・モデルを提唱したのは1959年に公表された「水の構造」という論文においてであり、ワトソンとクリックのDNA二重らせんモデルとほぼ同じ時期である。ちなみにポーリングは彼らより早くDNAの三重らせんモデルを構想していたらしい。

ポーリングは様々な分子構造の解析を進めるうちに、それらの相互作用によって生体組織の現象を解明できると考えるようになった。そして彼は1961年7月の『サイエンス』に「全身麻酔に関する分子理論」という論文を公表している。それは全身麻酔の作用が大脳に形成されるクラスレート・ハイドレートの微小結晶によって引き起こされるという、極めて独創的な内容になっている。

このポーリングの仮説は半世紀が過ぎた現在でも正しいのか間違っているのかは証明されていないらしい。おそらく彼はクラスレート構造が人間の意識や記憶作用に何らかの形で関与し、それによって麻酔効果が引き起こされると考えていたようである。

ちなみにこのクラスレートの微小結晶は麻酔薬によって誘導されるものなので、MRETウォーターのクラスレート構造とは単純に同一視することはできない。

推測として考えられることはMRETウォーターと同じように、クラスレート構造が形成されると電気的パラメーターが変化することをポーリングはつかんでいたのかもしれない。それによって脳波の伝達やシナプスの結合、ニューロンの反応に影響を与えることは考えられる。

全身麻酔に関する彼の仮説が正しいかどうかはわからない。しかしその立論の背景には、精神活動に対してクラスレート構造が何らかの影響を与えているというポーリングの潜在的な確信が存在している。そして彼の確信を科学的に立証することがこれからの私たちの課題になるだろう。

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