ローマの中空十二面体
ゼムリアの資料を調べていて少し興味深いものを発見した。それは「ローマの中空十二面体」というものである。
ギリシャの哲学者プラトンは対話篇『ティマイオス』の中で、後に「プラトン立体」と呼ばれることになる正多面体について記しているが、いくつかの古代文明の出土品には多面体の形状をもつものが発見されている。その中でも特に奇妙なものは正十二面体の形をした人工物であり、それは通称として「ローマの中空十二面体」と呼ばれている。
この「ローマの中空十二面体」の一般的な形状は正十二面体の各面に円形の穴が空いており、また各頂点には小さな球状の突起物が付いている。
中空十二面体の最も古い出土品はBC10世紀頃の古代イタリアのもので、エトルリア文明の産物と考えられている。またAD2世紀前後にはヨーロッパ各地で作られていたと見られる。
同様の形をした出土品はAD4世紀頃のアメリカでも発見されており、またBC5世紀頃のタイでは純金製の中空十二面体が発見されている。しかしこれらの中空十二面体がいかなる意図によって作り出され、またどのような形で使用されたのかについては全く不明とされている。
ブルガリアの研究者R・コストフによると、中空十二面体は12枚の面をもっているためカレンダーや占星術の道具だという意見もあるが、純金や青銅で作られている点を考えると何らかの宗教儀式の用具かもしれないという。
私から見ると、この中空十二面体の形状はMRETウォーターのクラスレート構造に酷似している。時代や場所も異なる地域からほぼ同じ形状をもつものが発見されているということは、古代文明を築いた人々は直観的に水の本質を理解していて、それを普遍的な象徴として表現したのかもしれない。興味のある人は "Roman Dodecahedron"で検索してもらえば新しい知見が得られるだろう。
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