ファヴォルスカヤの鉱脈
『キミヤ・イ・ジン』にその概要が示された地球結晶体モデルだが、この記事には素晴らしいおまけが付いている。それはソビエト科学アカデミーの地質学者、M・A・ファヴォルスカヤによる「<巨大な結晶>について」というコメントである。
「あらゆる地質学者は継続的に地球化学的現象が生じているこのモデルの交点に強い関心を抱くことだろう。それらの現象は地球の構造に異常なシステムが存在することを証明しており、その原因を探求することが必要である。さらに鉱物資源の巨大な鉱床とその活性地帯が様々なケースで一致するのであれば、この問題への関心はますます強くなるだろう。」
ファヴォルスカヤは地球が結晶体として形成されたというゴンチャロフたちの見解については否定しているものの、このモデルの有効性については一定の評価をしており、そのいくつかの交点と鉱床地帯の一致について強い関心を抱いている。ソビエト科学アカデミーの科学者が全く専門外の人間が提起した仮説についてコメントすることはきわめて異例のことである。
マリナ・ファヴォルスカヤはソビエト科学アカデミー鉱床学研究所の地質学者であり、アルメニアやカムチャッカ半島、沿海州のシホーテ・アリンの火山活動に関する先駆的な研究を行なった人物である。シホーテ・アリンといっても日本ではほとんど知られていないが、ハバロフスク-ウラジオストックに至るその構造線は、大陸と一体化していた古代の日本列島にもつながっていたとも言われている。
ファヴォルスカヤは火山活動と鉱床形成との関連性に強い関心をもっており、おそらくその観点からゼムリア仮説の可能性を評価していたものと思われる。最近になって彼女の著作を数冊入手することができたので、もう少しその鉱脈の源泉を掘り起こしてみたいと考えている。
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