元素転換に関する空理空論
最近、あるサイトで目にした記事が少し気になったので触れておきたい。それは杉岡氏の「常温核融合は本当だった!」というサイトに掲載されたものである。
このサイトの制作者の杉岡氏は10年ほど前に『生物学的元素転換』を当方に注文され、2005年に横浜で開催されたICCF-12で実際にお会いしたこともある人物である。かねてよりケルヴランの元素転換説に関心をもたれていて、これまでのサイトの記事にもしばしば引用されている。ところが2016年1月23日の記事には、なんと元素転換反応がガン発生の要因ではないかという仮説が述べられているのである。
その記事によると、(1)生物は放射線を浴びるとガンになる。(2)生物学的元素転換と常温核融合の間に関係がある。(3)常温核融合でも放射線が出ることがある。~このような理解しがたい三段論法の帰結として元素転換反応でも放射線が生じる場合があり、その結果ガン細胞が生じるのではないかと述べている。
フリタージュ・ブックスを読まれている方なら理解できると思うが、まず基本的な前提として放射線が生じるのであれば、それは元素転換反応ということはできない。放射性元素の壊変作用による体内被曝である。
また杉岡氏は健康なときには放射線を出さない元素転換反応が行なわれ、不健康なときにはそのメカニズムが異常になって放射線を生じるのではないかと述べているが、一体どのような根拠に基づいてこのような空理空論を唱えているのか理解に苦しむところである。もしそのように考えるのであれば、それを示唆する研究例や実験結果を例示すべきである。
最近ケルヴランやヴィソツキー博士の研究に言及している人もいるが、実際には『生物学的元素転換』さえ読んでいない人もいる。これはフリタージュ・ブックスを読まれている方ならすぐに判別できることである。
この研究領域に真剣な関心を抱いている方はそのような人々の言葉に惑わされず、研究の本質について問いを深めて頂きたいと願う次第である。
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