『生体系における同位体の元素転換と核融合』第2版の完成
ヴィソツキー博士の著作、『生体系における同位体の元素転換と核融合』の第2版がようやく完成した。
8年もかけて作り上げた翻訳書なので、それほど大きな変更は必要ないだろうと考えてオペに臨んだのだが、その考えは実に甘いものだったことを思い知らされた。
初版を発行したのが2012年3月だから約3年半ぶりの再版になるが、やはり初版は原書の記述に対して忠実なものになる傾向がある。それは間違っていないのだが、日本語に翻訳した場合は理解しにくい表現になるケースもあり、文脈上のバランスを考慮する必要も生じてくる。初版発行の際にも繰り返しチェックしているが、改めてオペを始めるとそのあたりの修正が必要になるのである。
具体的な変更点としては、第6章の「DNAの修復作用と同位体の元素転換の問題」の個所にDNAのエンドペアの画像を新たに作成している。これは文章の記述だけでは理解しにくいと思われたので、ドクターの別の著作の内容を参考にしている。さらに巻末に収録されているいくつかの論文のグラフも再作成し、より鮮明な画像に変更している。
またこの翻訳書にはドクターの特許資料を収録しており、フリタージュ会議のパワーポイントでも上映されていたが、ドクターはもともとこの特許資料をもっていなかったので私が提供した画像ファイルが使用されている。
この特許資料はデータベース業者からPDFとして入手したものだが、初版を発行するときにはそのPDFファイルが見つからなかったので、プリントアウトした画像をスキャンして使用している。
ところが数か月前に、処分しようとしていた古いフロッピーディスクから偶然そのPDFファイルが見つかった。今回はそのPDFから抽出した画像を使用しているので、はるかに鮮明な画質になっているが、一応確認のために印刷してみると「あれ、1枚多い。。」
初版では英語のアブストラクト1枚とロシア語の原文5枚だったのだが、PDFではロシア語の原文は6枚だったようである。初版を購入された方には申し訳ないが、これはあくまで参考資料として収録しているので、その点ご了承頂きたい。
またヴィソツキー博士の過去の論文を数本読んでその研究を理解したつもりになっている人もいるようだが、それらの論文は個々の実験を検討する目的で作成されており、本書のような包括的な考察は行なわれていない。特に第5~7章のような記述は皆無であり、過去の論文の内容はこの著作の30%にしか相当していないのである。その意味では、10年以上前に出版されたこの著作の価値はいまだに色あせていないと言えるだろう。
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