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2015/06/24

七色樫をたずねて

六月のある日、ふと思い立ってかねてより訪れたいと思っていた場所に行くことにした。それは岡山県の県北にある七色樫である。

七色樫は四季折々にその葉の色が移り変わり、紅葉のような赤色、イチョウのような黄色や緑と色合いが変化する珍しい樹木で、岡山県の天然記念物に指定されている。そして不思議なことに、この木の枝を別の木に接ぎ木してもこのような変色は起こらず、その原因は不明とされている。

この七色樫は鏡野町にあるということなので、大体のルートを地図で確認して出発した。津山市のあたりで道に迷いながらもようやく鏡野町に到着したのだが、どこにあるのかさっぱりわからない。スマホのGマップで調べてみると、さらに県北の奥津温泉の方面らしい。

車で北上を続けて苫田ダムを抜けると、ようやくそれらしい川沿いの道に入った。このあたりはウランの産地としても知られる人形峠も近いらしく、このような看板が立っていた。

Imgp1787 この地図で見ると七色樫を通り過ぎてしまったらしい。車を降りて少し歩いてみるが、それらしい所も見つからない。地元の商店が見えたので自販機で飲み物を買おうとすると、ちょうど店主らしい人物が話しかけてきた。よく聞こえなかったので「はい?」と聞き返したが、やはり聞き取れない。どうやら近くの民宿の客と勘違いしている様子だったので、適当に受け流し、七色樫の場所をたずねた。するといま来た道を戻った橋の近くだという。

そこで車に戻って橋の近くまで行ってみると、たしかに七色樫の看板があった。しかし車の進入方向と反対側に設置されているので、これでは見つかるわけがない。4時間近く運転してようやくたどり着くことができた。

Imgp1793 写真で見ると光の反射で明るく見えるように思えるが、実際に近づいてみてもこのような色合いである。七色樫自体は山裾に少し斜めに生えていて、周囲の杉の木は植林用に植えられたもののようである。

Imgp1804 いまの季節は黄色から緑に変わる時期らしく、小雨を受けた黄緑色の葉がみずみずしく輝いていた。樹齢はわからないが幹のあたりは神社にあるご神木のような風情を感じさせる。

Imgp1805 私たちはともすれば忘れがちだが、生命というものは本当に不思議な存在であることをこの木は静かに語りかけてくれる。しかし七色樫はただそのような自分という存在を生きているだけである。それに比べると私たち人間の賢しらな行為は愚かしいものに思えてならない。

生命という存在をそのまま受け入れる。本当はそれでいいのかもしれない。帰りぎわに七色樫を振り返ったとき、なぜか「ありがとう」という言葉が心に浮かんできたのだった。

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2015/06/12

夏に向けて

ヴィソツキー博士の著作『生体系における同位体の元素転換と核融合』は現在完売している。

この著作は2003年にロシア語圏で公刊されたものだが、私はその翌年に入手して2012年に日本語版を完成させた。翻訳に8年かかったわけだが、当初は『フリタージュの真実』の制作等も平行して行なっていたことが時間がかかった理由でもある。

しかし最も大きな理由はやはり内容の難解さを上げざるをえない。ドクターはソビエト時代の偏向した英語教育を受けた世代なので、その英文はお世辞にも理解しやすいとはいえない。翻訳を進めていた頃には全体の完訳はかなり厳しいと感じていて、実験中心の第4章をメインにした抄訳版にしようかと考えていた。もしフリタージュ研究に関する文献でなければ完訳することはなかっただろう。

また原書をお持ちの方はわかると思うが、収録されている画像もコントラストやスクラッチがひどいものだったので、ドクターにオリジナルの画像を送ってもらっている。しかしそれらもかなりコンディションが悪かったので、各画像はそれぞれ10時間ぐらいかけて修正したものを掲載している。オリジナルの画像を30分修正したものにAという符号を付け、次に30分修正してBに変更する作業を繰り返した。翻訳書に採用されている画像はW,Xクラスなので、10時間以上かかっていることに間違いない。

現在はロシア語の原文をチェックしているが、若干ニュアンスは異なるものの英語表現とのギャップはほとんどない。8月か9月には第2版のオペを完了したいと考えている。

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