生物の進化と微量元素
ヴィソツキー博士の研究はフリタージュ研究の系譜としてはケルヴランの元素転換説の延長線にあるといえるが、両者の研究を別の文脈から読み解くことも重要である。その一つとして生体必須元素という視点がある。
一般に生体組織を形成するために必要不可欠とされる主要元素としては水素、酸素、窒素、燐、硫黄などがある。これらの元素が核子クラスターを媒介として相互に転換し、生体組織が支障なく形成されるというのが元素転換説におけるケルヴランの主張である。
これに対してヴィソツキー博士の研究では鉄やセシウムなどの微量元素の転換反応が中心テーマとされており、それらは立体化学的類似性に基づくある種の「代償作用」と捉えられている。すなわち酵素作用に必要とされる金属触媒の欠乏などを補うための反応であり、これによって生体の代謝プロセスを次のステージに進めることが可能になるのである。
ヴィソツキー博士はまた、このような微量元素の存在が生物の環境適応と進化を方向づけていると考えており、その一例として南極地域の極限環境微生物を上げている。ウクライナの南極基地があるガリンデス島は火山性土壌のために硫化金属が多く含まれており、そこに生息する微生物は3000ppmの胴イオンにも耐性をもっているという。このような生物の進化と微量元素の関係性は今後、フリタージュという観点から再検討されることだろう。
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