"La fusion dans tous ses etats"
最近知ったことだが、フランスの物理学者J・P・ビベリアン博士が2012年10月に一冊の著作を公表している。そのタイトルは "La fusion dans tout ses etats" というもので、直訳すると『全ての状態における核融合』となるが、コールド・フュージョンのみならず生物学的元素転換や錬金術にも言及している包括的な著作である。
この本は240ページに及ぶ12章構成だが、S・ポンズが序文を寄稿していることからもビベリアン博士の人脈の広さがうかがえる。
第1章はコールド・フュージョンの研究史の概略になっているが、第2章以降は自叙伝と自分の研究者としてのプロフィールが記述されている。
また第5章には様々な核変換の研究例として桜沢如一や三菱重工業のケースが取り上げられている。第6章はコールド・フュージョンの様々な理論を例示しており、第7章はITERについて言及されている。
そして第8章は生物学的元素転換に関する記述になっているが、その内容はかつてICCFで公表されたものとほぼ同じものである。
興味深いのは第9章で、中世ドイツで鋳造された銀貨に含まれている銀の同位体異常について報告しており、これは当時の錬金術の影響ではないかと考えているようである。
また付録として添付されている三つの研究資料も興味深いものだが、全体的に盛り込みすぎた感は否めない。写真やグラフもあまり収録されていないので、フランス語を読めない人はあまり理解することはできないだろう。
それでもICCF-11のホストを務めたビベリアン博士のフリタージュ研究に対する姿勢はドクターと通じるものがある。その独自のパースペクティブを物語る著作として評価されるべきといえるだろう。
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