「自発的」変成作用
正長石から白雲母への変成作用に関する古典的な置換反応に対して、コロルコフはSiO4四面体の珪素がアルミニウムに転換することを主張している。その具体的な反応式は以下のようになる。
Si→Al+H+X
SiO4四面体は珪素が+4の価数、酸素が-2の価数をもっている。この珪素が価数+3のアルミニウムに転換し、+1の水素が生じるために、四面体の酸素の一つは水素と結合して水酸基(OH)に変化する。そして質量欠損に相当する粒子(ないし電磁波)がXとして放出されるという。
なかなか興味深い考え方だが、単独のイオンならともかく酸素に取り囲まれている珪素がなぜアルミニウムに転換するのかが問題である。これについてコロルコフは、安定元素とされる珪素原子にも半減期が存在し、「自発的な」変成作用が生じるという仮説を立てている。
SiO4四面体は珪酸塩鉱物の骨格であり、それぞれの鉱物によって鎖状・平面状・立体状の構造を形成している。その珪素が「自発的に」転換するとしたら鉱物学上の大問題である。わかりやすくいえば水晶玉がアルミニウムのボールに変化するようなものである。
しかしながら何らかの地質学的条件によって、このような特殊な反応が生じる可能性は否定しきれないかもしれない。そしてこうした反応によって地球に存在する大量の水が生み出されたのかもしれないのである。
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