珪化木
エレバン・クニーガに収録されているP・A・コロルコフの論文「鉱物と岩石の自発的変成作用」は44ページもあるため、ここではその概要を少し確認するにとどめたい。
この論文の冒頭においてコロルコフは、正長石から白雲母への変成作用が従来の見解としては熱水の影響による化学的置換によるものとされていることを指摘している。(『地質学における微量エネルギー元素転換』P.53)
変成作用というのは岩石や鉱物が化学変化を起こしたものに過ぎないと誤解されるかもしれないが、その認識はまちがっている。変成作用を受けた岩石・鉱物の成分は変化しているが、構造的には元の岩石とほぼ同じである。
わかりやすい例としては珪化木という化石が上げられる。これは地中に何万年も埋もれていた樹木がその形状のままガラス化した化石である。それは土壌の珪酸分が化学的に置換されてできたと考えられているが、本当にそうだろうか?
樹木の構造が変化していないということは、それが破壊されるほどの高温・高圧の状態になったことがないということである。また化学的な置換が生じるには成分元素が水に溶解してイオンにならなければ不可能である。しかしそのような多量の水分が存在していたのであれば樹木の成分の加水分解等が先行的に生じるはずであり、樹木の形状は崩壊していなければならない。
このように考えると、珪化木はほぼ常温・常圧でガラス状に変化したということになる。ケルヴランならおそらく樹木の炭素質成分と酸素が融合して珪素に転換したというフリタージュ反応(C+O:=:Si)を示唆することだろう。
化石や変成岩が実は元素転換反応によるものではないかという視点をもつことによって、コロルコフの文脈をひもといていくことにしよう。
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