元素の融合進化
エレバン・クニーガは非常に専門的な研究内容がロシア語で記述されているので、解読はかなり困難な作業である。ただし、この論文集でネイマンが何を目指していたのかを暗示する一つの鍵が残されている。それは元素が融合進化するという独自の概念である。
現代科学における地球の起源は、超新星の爆発によって生じた鉄以降の金属元素を含む宇宙空間の岩石などが凝集して形成されたとされている。そして地球の形成過程では特殊なケースを除いて核反応が生じることはなく、各元素の存在量としてはほとんど変化していないと考えられている。
しかしネイマンは、なぜ特定の鉱物資源がランダムに分布するのではなく、ある地域に集中しているのかという根本的な疑問を抱いていた。そしてそれは単なる地理的要因ではなく、そのような鉱脈が形成される未知の環境条件が作用した結果ではないかと考えたのである。
こうして彼は、地球の形成過程において元素自体も多段階的な融合進化を行なってきたという独自の結論に達し、具体的に次のような反応がその進化の軸となっていると主張している。
N14→Si28→Fe56→Cd112→Ra224
この融合進化は原子量を基準にしているので、陽子の個数を示す原子番号とは一致しないことに注意してもらいたい。
まずステージ1では原始太陽系で窒素ガスが濃集し、珪素への転換が生じる。ステージ2では珪素やアルミニウムが鉄・ニッケル等に転換して地殻を構成する主要な元素が形成される。ステージ3では鉄・ニッケルなどの遷移元素が融合してカドミウムや銀などの微量元素が形成される。ステージ4ではそれらの元素がさらに融合してラジウムなどの放射性元素が作り出されることになる。
おそらくステージ1では派生的に酸素が形成され、それによってステージ2のアルミニウム等が派生的に形成されることになるのだろう。こうして地殻の87%を占める酸素、珪素、アルミニウム、鉄が原始の地球で形成されたとネイマンは考えたのである。
ネイマンは地球膨張論や地球結晶体説(惑星グリッド)にも深い関心を抱いていた。そしてこの元素の融合進化を軸として、それらとケルヴランの元素転換説を統一的に捉えようとしていたのである。
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