エレバン・クニーガ(3)
アルメニア国立図書館のデータベースに記載されていたエレバン・クニーガの書誌情報を確認してみると、驚いたことに170ページに及ぶなかなかの大著であることが判明した。論文集ということから数人の科学者による小冊子程度のものと考えていたので、この分量は意外だった。
そこでともかく図書館のスタッフに次のようなメールを送ってみた。「自分は日本の研究者だが、長い間探していた以下のタイトルの資料がそちらに収蔵されていることがわかったので、できればこの資料のコピーを注文する方法を知らせてほしい。」
数日後、アルメニア国立図書館のナン・シャフミヤンという人から返信が届いたが、その内容は「資料のコピーを送ることは現実的ではないが、スキャンしてPDFファイルを送ることはできるので、よかったら連絡してほしい。」というものだった。そこですぐにPDFファイルのスキャンを依頼して、感謝の気持ちを伝えた。
発注に当たって何か料金等の条件があれば連絡してくるだろうと待っていたが、その後彼女から連絡が届くことはなく、一週間が過ぎた。しかし170ページもある論文集をスキャンするのも大変な作業であり、図書館の業務も忙しいのだろうと思い、もうしばらく待ってみることにした。かれこれ二週間が過ぎ、三週間目を迎えるころにはさすがにどうなっているのか気かがりになってきた。
大企業や巨大な組織が個人の問い合わせに応じないのはよくあることである。あのメールは単なるリップサービスだったのだろうか?はしなくもそんな疑念が湧いてきた。そこで返信を期待することなく、ナン・シャフミヤンに「先月資料のPDFファイルを依頼したものだが、すでにファイルを送ってもらえただろうか?」というメールを送ってみた。
その翌日、ドロップボックスという所からメールが届いたので開いてみると、「ナン・シャフミヤンからファイル共有のリクエストが届いています」という内容だった。そのサイトを開いてみると、おそらく論文集と思われる二つのRARファイルがあり、それらをダウンロードすることができた。後に届いた彼女のメールによると、私が依頼した翌日にはPDFファイルを送っていたが、私のメールから届いていないことがわかったのでドロップボックスを利用したということだった。
ネットから入手した解凍ソフトでRARファイルを開けると、ロシア語のPDFファイルとグラフを確認することができた。こうしてようやく入手不可能と思われたエレバン・クニーガを手に入れることができたのである。
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