エレバン・クニーガ(1)
工作舎から出版されている『植物の神秘生活』の中にはケルヴランやバランジェについて言及した一章が含まれている。その中には生物学的元素転換に関連するものとして、ソ連の科学者V・B・ネイマンが1971年に『自然界の原子転換の諸問題-濃縮と分散』という論文集をアルメニアの首都エレバンで限定出版したという記述がある。
ウラジミール・ボリソビッチ・ネイマンはソビエト科学アカデミーのメンバーであり、地質学者・天文学者として知られている。『地質学における微量エネルギー元素転換』を読まれた方はご存じだろうが、ケルヴランの元素転換説はフランスの地質学者G・シューベルによってロシア語圏に伝えられた。ネイマンは元素転換説に強い関心を抱いてケルヴランとコンタクトをとり、ソビエトの研究者の情報を伝えている。
そのネイマンが編集したこの論文集が一体どのようなものなのかは長い間謎のままだった。実は一年ほど前に、私はこの論文集についてドクターに尋ねたことがある。ロシア語圏のドクターなら何らかの情報をつかんでいるかもしれないと思ったからである。しかしドクターもこの論文集はもっておらず、40年以上前にアルメニアで限定出版されたものなので入手は困難だろうという返事だった。
そこでいったんは諦めたのだが、最近になって本当に入手不可能なのか調べてみようと考えたのである。まず英語ではなくロシア語のキリル文字でタイトルを入力して検索すると、いくつかのサイトが見つかったのだが、そのほとんどは引用文献の表記であり、内容の把握につながるものではなかった。
次に見つかったのはロシアのブック・オークションのサイトで、ネイマンの論文集と思われるものが出品されていた。意外と早く入手できそうだなと思ったが、そのロシア語の記述を調べてみると「モスクワ市内にしか発送しない」と書いてあり、出品者とコンタクトをとることもできなかった。
さらに調査を続けていくと、エストニア大学の図書館に収蔵されているという情報が得られたので、この論文集のコピーを送ってもらえないかとメールしたところ、インターライブラリー・ローンシステムに加盟している図書館を通してほしいと伝えられた。そこでこのシステムについて調べると、国公立の大学図書館であれば加盟しているらしいが、学内の関係者しか利用できないことが判明した。先の見えない調査に手づまり感が募るばかりだった。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント