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2013/12/14

仙台の夜

上野に戻るとコインロッカーから荷物を取り出し、中央改札に向かう。弟とはここで別れ、私たちは東北新幹線やまびこ212号に乗りこんだ。出発後ドクターはバッグからオレンジジュースの紙パックを2個取り出し、1個を私にくれた。どうやら立食バイキングのときにちゃっかりもらってきたらしい。代わりに私はカロリーメイト(メープル味)を上げた。初めてだったのか、ドクターは珍しそうに食べていた。

福島に近づくとドクターは「フクシマ?」と私に尋ねてきた。残念ながらすでに日は落ちて外の様子をうかがい知ることはできなかったが、車内の電光掲示板の「Fukushima」という表示をデジカメで撮影したりしていた。

仙台駅に着くとタクシーで昨日予約したホテルに向かう。フロントでチェックインを済ませて部屋に着くと、驚いたことに予約したツインではなくセミダブルの部屋だった。これはちょっと狭すぎるということで再びフロントに行き、シングルを新たに追加してもらった。

部屋に荷物を置いて夕食をとろうと10Fのレストランに行くと、そこは朝食しかやっていないという。仕方がないのでホテルの地下街にある飲食店を見て歩くが、ドクターは和食がいいというので高級すし店に入ることにした。そこで板前職人に適当に見繕ってもらうように頼んだ。

料理を待つ間にドクターに高濃度汚染水の処理について質問してみた。ストロンチウムについては以前にメールで質問したことがあったが、トリチウムの元素転換は可能かどうかと尋ねたところ、たしかにトリチウムは水素イオンの立体化学的類似物になるが、Cs+p→Baとはエネルギー収支も異なるだろうから、実験的に検証しないかぎり断定できないという答えだった。しかしもしCs+T→Baの反応が実現可能なら、生成したバリウムはベータ崩壊してランタン、セリウムへと転換し、放射能は二週間で消失することになる。これは今後検討する価値は十分あるものと思われる。

今から考えるとすし屋のカウンターでする話でもなかったかもしれないが、出されてきた寿司や鮭の塩焼き、天ぷらなどはかなり美味しかった。ドクターは天ぷらを食べたのは初めてだったようだが、「ベリーグッド」と喜んでいた。そこの板前はドクターの箸の使い方をしきりにほめていた。最初はリップサービスかなと思ったが、「日本の若い人より上手ですよ」と言っていたので満更でもなかったようである。出てきた料理は格別だったが、勘定もまた別格だった。キエフにもすし屋はあるそうだが、本場の寿司の味をドクターに味わってもらえたのは幸いだったと思う。

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