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2012/12/20

元素転換と形質転換

これまで生物学的元素転換に関心を抱いてきた人はすでにおわかりだと思うが、ケルヴランの主張するように元素転換が植物や動物でも同じように生じるのであれば、その反応は細胞の構造や分裂のメカニズムには依存しないものと考えられる。

またキエフ・グループのMCTやEM菌も原核生物と真核生物のある種の共生組織と考えられており、そこにフリタージュ反応が生じるのならそれは細胞レベルのプロセスとは直接的な関連はないものと思われる。そうすると元素転換反応を実体的に担うのは細胞内部の輸送系やミトコンドリア、あるいはDNAなのかもしれない。

F・グリフィスが行なった形質転換に関する実験はある意味で興味深いものだが、これは二種類の肺炎連鎖球菌を使用したものである。S型には病原性があり肺炎を引き起こすが、R型には病原性がない。ところが死滅したS型球菌をR型球菌と混合してマウスに接種したところ、R型にS型の病原性が獲得されて肺炎を引き起こしたという。

これによって形質転換因子はS型のDNAということが特定されたわけだが、このような図式はもしかすると微生物の共生組織における元素転換反応にも当てはまるのかもしれない。

ある微生物にフリタージュ反応をコードするDNAが存在する場合、環境条件の変化によってその微生物が生物活性を失った場合にも、別の微生物がさながら形質転換のようにその機能を受けついでいるとは考えられないだろうか。

もちろんそこには様々な制約条件があるだろうが、このように考えるとなぜ共生組織で元素転換の効率が高まるのかも理解しやすくなる。おそらくそのような共生組織内部での代謝プロセスの解明がその本質を明らかにする鍵となるだろう。

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2012/12/03

多様化と特殊化

今年の3月、キエフ・グループの研究書『生体系における同位体の元素転換と核融合』を8年の歳月をかけて完成することができた。その内容はたしかに難解ではあるが、それ以上にこの研究に対するヴィソツキー博士の真剣な眼差を感じとって頂ければ幸いである。

例として上げると、生物はその成長と進化において相反する課題を突きつけられている。一つは「自分自身をゆるぎなく生きる」というテーマであり、これはDNAの複製プロセスの正確性と多重的なチェック体制、変異細胞の排除といったメカニズムに相当している。そしてもう一つは「変動する環境条件に適応するために柔軟に対応する」というもので、突然変異による進化のプロセスや立体化学的類似物によるイオンレベルの代謝作用がそれに該当するだろう。

この相反する課題を克服するために、生物はその進化の過程で選択肢を増やしてきたのであり、それは今後も続いていくものである。ある意味では多様化と特殊化の対立ともいえるが、そこには両者を結びつけるいくつかの糸が存在すると考えられている。ヴィソツキー博士はその一つが生物のもつ元素転換能力ではないかと示唆しているのである。

そして今年の7月には『フリタージュの真実』の英語版、『The Reality of Frittage』を完成することができたが、これはケルヴランと直接対峙したレオン・ゲゲン、そしてヴィソツキー博士からも高い評価を頂いた。

フリタージュ研究に関して全く正反対の立場にある両者からこのような評価を受けたということは、その内容が豊富な資料と厳密な考証に基づいていることを示している。現在は<Rical>が本書のフランス語版を制作しているので随時資料を提供しているが、そのほとんどはフランス語の論文なので来年中には完成するだろう。

今年完成したこれら二つの著作は、奇しくもフリタージュ研究における多様化と特殊化を体現しているようにも思われる。

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