元素転換と形質転換
これまで生物学的元素転換に関心を抱いてきた人はすでにおわかりだと思うが、ケルヴランの主張するように元素転換が植物や動物でも同じように生じるのであれば、その反応は細胞の構造や分裂のメカニズムには依存しないものと考えられる。
またキエフ・グループのMCTやEM菌も原核生物と真核生物のある種の共生組織と考えられており、そこにフリタージュ反応が生じるのならそれは細胞レベルのプロセスとは直接的な関連はないものと思われる。そうすると元素転換反応を実体的に担うのは細胞内部の輸送系やミトコンドリア、あるいはDNAなのかもしれない。
F・グリフィスが行なった形質転換に関する実験はある意味で興味深いものだが、これは二種類の肺炎連鎖球菌を使用したものである。S型には病原性があり肺炎を引き起こすが、R型には病原性がない。ところが死滅したS型球菌をR型球菌と混合してマウスに接種したところ、R型にS型の病原性が獲得されて肺炎を引き起こしたという。
これによって形質転換因子はS型のDNAということが特定されたわけだが、このような図式はもしかすると微生物の共生組織における元素転換反応にも当てはまるのかもしれない。
ある微生物にフリタージュ反応をコードするDNAが存在する場合、環境条件の変化によってその微生物が生物活性を失った場合にも、別の微生物がさながら形質転換のようにその機能を受けついでいるとは考えられないだろうか。
もちろんそこには様々な制約条件があるだろうが、このように考えるとなぜ共生組織で元素転換の効率が高まるのかも理解しやすくなる。おそらくそのような共生組織内部での代謝プロセスの解明がその本質を明らかにする鍵となるだろう。
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