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2012/02/24

第4章のポイント

新作『生体系における同位体の元素転換と核融合』の第4章は様々な活性培養菌を使用した元素転換実験とその分析結果を提示する内容であり、ある意味では本書のメインテーマといえるだろう。もしかすると一部の人々は、この実験結果さえ得られればよいと考えているかもしれない。しかしそういう方には本書を読む資格はないと思う。

ケルヴランの場合もそうだが、ヴィソツキー博士の研究についても、それに対する本質的な理解を深めることなく、都合のよい所だけをピックアップして利用しようとする傾向が一部に見受けられる。あまり批判めいたことも言いたくないが、興味本位であるならこれほど高い買い物もないだろう。この研究テーマに真剣に問いを深めようとする方に活用していただければ幸いである。

第4章の内容を詳細に記述することは難しいが、いくつかの重要なポイントがあることに注意して頂きたい。その一つはフリタージュ反応で生成した鉄57をメスバウアー分光法とレーザーTOF質量分析によって測定しており、その転換効率が一致することを確認していることである。複数の分析方法によって元素転換反応が確証されているのは画期的な成果といえるだろう。

もう一つの重要なポイントは、こうした反応が放射能耐性菌のような特殊な微生物だけではなく、様々な種属の培養菌によって生じていることである。この事実は、特殊な微生物だけが元素転換反応を生じる能力をもっているのではなく、それは多種多様な微生物にそなわっている普遍的な能力であることを示唆している。

三つめは培養基に含まれる成分によって元素転換の効率は大きく影響を受けるという点である。この特徴は、これまでの元素転換実験があまり再現性が良くなかったことの原因といえるかもしれない。

これらのポイントを踏まえた上で第4章の実験結果と生化学的プロセスとの関連を読み解いて頂ければ幸いである。

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2012/02/17

ネグリジブル・スモール

高価な著作であるにも関らず、新作の注文はこの二週間ですでに10冊を超えている。私としては少し予想外の反響ではあるが、それだけヴィソツキー博士の研究に関心が寄せられているということなのだろう。

先日ご注文頂いた方からの連絡で気づいたことだが、ここで少しお詫びしておかなくてはならない。それはこれまでYahooアドレス(@yahoo.co.jp)から当方に送られたメールが届いていなかったということである。

ご指摘を受けてニフティのメール設定を確認してみるとYahooアドレスのメールを拒否する設定になっていた。これはおそらく、以前にYahooアドレスのスパムメールが頻繁に届いたときの設定がそのまま残っていたためらしい。現在は設定を解除したのでYahooアドレスのメールも受信できるが、もし不都合のある場合はsakumeisha@yahoo.co.jpにメールを送って頂ければ幸いである。

それでは新作の第3章についてであるが、この章は生体系における同位体比の変動性をテーマとしている。ページ数は比較的少ないが、この同位体の変動という問題はフリタージュ研究において実に重要な位置を占めている。これに関しては『フリタージュの真実』P.85の<異端審問>におけるG・バルビエのコメントによって適切に示されている。

自然界に存在するあらゆる元素はほぼ一定の同位体比をもち、それは環境の変化や生態系のプロセスによって擾乱されることはないというのが一般的な見解である。その同位体比が変化するのは放射性同位体の自然壊変や遠心分離機などの人工的な加工処理に限られ、それ以外の場合に同位体比が変動することはないとされている。そしてこれは同位体による年代測定法の基本的前提ともなっている。

あらゆる化学反応を価電子あるいはイオン形態の相互作用ととらえるなら、この見解は間違ってはいないといえるだろう。しかしながらヴィソツキー博士は、軽い同位体と重い同位体ではいくつかの物理的・熱力学的作用において格差が生じると述べている。一般的にはこのようなわずかな偏差はネグリジブル・スモール(無視しうる量)として捨象されてしまう。逆にいえば、こうした形で不都合な要素を切り捨てることによって現代科学は成立しているのである。

この第3章ではあまり包括的な形では論じられてはいないが、もし生体系においてフリタージュ現象が生じるなら、それは同位体比の変動という形に反映されることが考えられる。問題はそれがどのようなレベルであれば有意なものとして捉えられるかということであり、この点に関しては私たち自身がさらに問いを深めていく必要があるだろう。

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2012/02/10

ケルヴランVSヴィソツキー

少しずつではあるが新作を注文される方が増えてきている。大変ありがたく感じると同時に、キエフ・グループの研究に真剣に取り組もうとする人々の姿勢が私にはとても嬉しく思われる。

前にも述べたが今回の新作は専門的な研究書であり、大変高価である。そのために興味はあっても注文するのを少しためらう方もおられるかもしれない。それはそれで無理をする必要はないと思う。私はヴィソツキー博士との約束を果たしたに過ぎないのだから。

これまでに制作したフリタージュ・ブックスもそうだが、私はそれを必要とする人の手元に届けばそれで良いと考えている。人それぞれの価値基準は様々だからである。ある人はそれを高いと感じるだろうし、別の人はそれだけの価値があると思うだろう。

ただ一つ言えることは「価値を理解しない人ほど価格で判断しようとする」ということである。そしてこれは私たちが何かを手に入れようとするときに全般的に当てはまる事実である。問題はそれが自分にとってどのような価値をもつものなのかを見きわめることだろう。

その価値判断のためにも新作の第2章以降について解説したいと思うが、第2章のタイトルは「生体系における元素転換の研究の歴史と問題点」である。ここで当然取り上げられるのはケルヴランの研究である。

ケルヴランの研究についてはこれまで3冊のフリタージュ・ブックス、特に『フリタージュの真実』で包括的に取り上げ、私なりの結論を示したつもりである。本章の中でヴィソツキー博士はケルヴランの研究をいくつか例示し、物理学者としてその批判的検討を行なっている。

あまり内容を引用しすぎるのも読む楽しみがそがれると思うので、ここでは差し控えておくが、ケルヴランとヴィソツキー博士の研究の微妙な差異を認識しておくことは重要である。たとえばヴィソツキー博士の核合成反応ではケルヴランが「クリベージュ」と呼んだ核子クラスターの分裂反応は確認されていない。

その他にも対比してみると様々な違いが浮き彫りになる。これまでのフリタージュ・ブックスを読まれている方はそのあたりを再認識することが第2章の課題といえるかもしれない。

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2012/02/02

科学の<戒律>

フリタージュ・ブックスをご覧頂いた方はおわかりだと思うが、予想外に制作作業がはかどり、新作の完成品がすでに届いている。そこでこれまでに『フリタージュの真実』、『地質学における微量エネルギー元素転換』を購入された方に順次新作のご案内を差し上げている。なお『生物学的元素転換』のみを購入された方はあまりにも多数なので、今回の新作のDMを全ての方にお送りすることは困難である。希望される方はメールでご連絡頂ければ幸いである。

それでは少し落ち着いて今回の新作の内容を検討してみることにしよう。以前にも紹介したようにこの著作は7章構成になっているが、その第1章はいわゆる「序文」である。しかしながらその内容は単なる導入部ではなく、ヴィソツキー博士の世界観、そして科学の営みに対する独自の認識が語り起こされている。本章は次のような言葉から始まっている。

「人類の文明がその歴史全体を通して熟考してきた「永遠のテーマ」の中でも、物質的世界の変容と不変性の問題は常に特別な位置を占めてきたものである。哲学者や錬金術師、詩人や物理学者はこの問題について思索を深めてきた。最終的に黄金を得るために元素を転換しうるという<賢者の石>の探究は、人類の文明の歴史において暗黒時代にさえ続けられてきたのである。」

そして現代に至る科学の体系化の過程で形成された機械論的世界観にともなって、ある種の宗教的<戒律>が形成されていったという。それは異端な学説を真理の名の下に排除する「科学的」定説と呼ばれるものである。

このような<戒律>は宗教組織の活動や儀礼式典を保証する役割を果たしているが、それと同時にあらゆる部外者の介入を退け、新しい変革や発展を阻害する要因ともなっている。ヴィソツキー博士はそのような構造を科学の歴史に移しかえて、フリタージュ研究を問題提起する意義を私たちに問いかけているのである。

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