第4章のポイント
新作『生体系における同位体の元素転換と核融合』の第4章は様々な活性培養菌を使用した元素転換実験とその分析結果を提示する内容であり、ある意味では本書のメインテーマといえるだろう。もしかすると一部の人々は、この実験結果さえ得られればよいと考えているかもしれない。しかしそういう方には本書を読む資格はないと思う。
ケルヴランの場合もそうだが、ヴィソツキー博士の研究についても、それに対する本質的な理解を深めることなく、都合のよい所だけをピックアップして利用しようとする傾向が一部に見受けられる。あまり批判めいたことも言いたくないが、興味本位であるならこれほど高い買い物もないだろう。この研究テーマに真剣に問いを深めようとする方に活用していただければ幸いである。
第4章の内容を詳細に記述することは難しいが、いくつかの重要なポイントがあることに注意して頂きたい。その一つはフリタージュ反応で生成した鉄57をメスバウアー分光法とレーザーTOF質量分析によって測定しており、その転換効率が一致することを確認していることである。複数の分析方法によって元素転換反応が確証されているのは画期的な成果といえるだろう。
もう一つの重要なポイントは、こうした反応が放射能耐性菌のような特殊な微生物だけではなく、様々な種属の培養菌によって生じていることである。この事実は、特殊な微生物だけが元素転換反応を生じる能力をもっているのではなく、それは多種多様な微生物にそなわっている普遍的な能力であることを示唆している。
三つめは培養基に含まれる成分によって元素転換の効率は大きく影響を受けるという点である。この特徴は、これまでの元素転換実験があまり再現性が良くなかったことの原因といえるかもしれない。
これらのポイントを踏まえた上で第4章の実験結果と生化学的プロセスとの関連を読み解いて頂ければ幸いである。
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