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2011/10/27

秋から春へ

8年前に翻訳を開始したキエフ・グループの著作『生体系における同位体の元素転換と核融合』の翻訳もそろそろ終盤にさしかかりつつある。今のペースでいけば、おそらく年末には翻訳を完成することができるだろう。そして来年には編集・校正の作業を経てプロトタイプの完成をめざすことになる。

だがそこからが問題である。この著作はロシア語と英語のバイリンガル構成で、これまでは英文に基づいて翻訳を進めてきた。しかし彼らの英語は旧ソ連時代の英語教育によるものなので非常に難解であり、また一部には完全な誤用と思われる表現も少なくない。そこで私はロシア語を学習しながら少しずつロシア語原文の方も調べているが、英訳文とは少しニュアンスの異なる部分も多々あることがわかってきた。

さらに内容が特殊な研究領域に関するものなので、量子力学における専門用語や独特の概念も数多く記されている。また収録されている実験データの画像も不鮮明なので、ヴィソツキー博士に記述内容の確認を取りつつ、オリジナルの画像データを送ってもらった。しかしその画像もかなり難点のあるものなので、現在画像加工ソフトで修正を進めている。

このような状況なので、翻訳自体が完了したとしても次の段階に進むためには様々な作業工程が必要になるだろう。またこの著作以外にも関連する論文をいくつか翻訳しているので、それらをどのように組み込むかも一つの課題といえる。

編集作業によってプロトタイプがどのような構成になるかは今のところ不透明だが、来年の春にはひとつの形に結晶化させたいと考えている。

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2011/10/15

EMとMCTの比較実験

放射能の除去や元素転換反応に関する検証も必要ではあるが、EM菌については少し異なる面からMCTとの比較を行なう必要があるだろう。

まず両者の共通点としては異なるタイプの微生物の共生組織であることが上げられる。MCTでは真核生物と原核生物、嫌気性微生物と好気性微生物といった対照的な存在が共生関係を作り上げている。そのため微生物の共生組織全体が、あたかも組み合わされた機械のように多様な代謝サイクルを柔軟に機能させている。おそらくEMにも類似した代謝経路が確立されているのだろう。

そしてMCTはフリタージュを実現するだけではなく、RMMテクノロジーにおいて様々なゼノバイオティクスを処理する作用をもっている。たとえばアニリンなどの有機化合物、六価クロムや水銀などの重金属に対する反応はデータとしても確認されているので、同様の実験をEMを使用して行なうことにより、両者の共通点と相違点をより明確にすることができるだろう。

またMCTは環境条件によって好気性モードから嫌気性モードに代謝回路を切り替える能力をもっていることが実験的に確認されている。これはリダクターゼの作用の指標となるレサズリンという呈色試薬を使用すればEM菌にそのような機能があるかどうかを調べることができるだろう。さらにMRETによって活性処理した培養基を使用して、発酵作用によるガスの生成を比較してみると新しい発見があるかもしれない。

そして最終的にはMCTと同じようにEMが放射性元素とどのような反応を生じるのかを試験管レベルで検証することである。それによって除染処理への応用もより効果的なアプローチが可能になると思われる。

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2011/10/07

EM菌と生物学的元素転換(3)

EM菌による放射能除染実験の詳細については今後さらなる実験内容の検証を待ちたいと思うが、これと符合する情報として金沢大学の田崎和江名誉教授も放射能で汚染された水田にバクテリアを散布したところ、線量が低下したという実験結果を得たそうである。

この実験の詳細については今のところ不明だが、実験後にバリウムが検出されたということからキエフ・グループのMCTの実験と同様の反応が生じた可能性もある。ただEMの実験にしても田崎教授の実験にしても、いきなり元素転換と結びつける前にもう少し批判的な検証が必要だという印象を受ける。

キエフ・グループの実験は原子炉の一次系ループから採取した水を試験管に入れて培養菌を接種するという方法であり、これはほぼ閉鎖系で実験環境も管理されている。

これに対して両者の実験は外的な影響に左右されやすい野外の広い土地で行なわれている。EMの実験期間の2ヶ月の間にも雨が降った日もあっただろう。またブルーベリーは酸性土壌を好む植物なので、その農園の土壌はあらかじめ改良されているはずである。そのような土壌でのEM菌の生態がどのようなものであったのか、pHの変動も含めて調査されてしかるべきである。したがって現時点ではいずれの実験についても断定的な結論は控えるべきであろう。

さて、比嘉教授の講演では除染実験と合わせてチェルノブイリの原発事故の被災者に関する調査も公表された。EMの商品の一つに「EMXゴールド」という飲料水があるそうだが、これを被災者に供与して体内被曝の状態の変化を追跡調査したものらしい。そしてこのEM飲料によって有意な変化が観察されたという。これはEM菌の特徴の一つである非イオン化作用の効果とのことだが、除染実験と同様に厳密な検証が必要だろう。

実は少し前にフランスの<Rical>から連絡があり、あるサイトを教えてもらった。真偽のほどは定かではないが、そのサイトにはスピルリナによって体内被曝の影響が軽減されたという内容が記されていた。もしかするとEMXゴールドによって同様の効果が生じた可能性はあるかもしれない。

しかし重要なことは一つ一つの情報に振り回されるのではなく、はたしてそこに何が生じているのかという問いを深めていくことである。そしてその地道な検証作業のかなたにフリタージュの実在性も見えてくるのかもしれない。

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