EM菌と生物学的元素転換(2)
比嘉教授による午前中の基調講演は「環境にやさしい花のまちづくり」と題するもので、EM菌を活用した栽培例の報告をメインとするものだった。会場の参加者はおそらく農業関係と思われる年配の方が中心で、私のような人間は少し場違いに思われた。
だがこれとは対照的に午後の講演は実に驚くべき内容だった。それはEM菌による放射能除染実験に関するものだったのである。講演で上映された資料に基づいてその実験手順を以下に記載しておく。
除染実験が行なわれた場所は福島県飯舘村のブルーベリー農園である。面積20アールのこの農園は(1)対照区(2)EM活性液散布区(3)EM活性液+米ぬか散布区の三つに区分され、5月10日以降10アール当たり100ℓの活性液が週2回散布された。
そして2ヵ月後の7月に各区域の土壌とブルーベリーが採取され、ゲルマニウム半導体検出器によって同位体核種の定量が行なわれた。その結果、当初20000ベクレルだったセシウムの濃度が5000ベクレルまで減少したというのである。
ご存じのとおりセシウム137の半減期は約30年である。20000ベクレルの放射能が5000ベクレルまで減衰するには60年かかる計算である。EM活性液の散布によってそれが2か月で達成されたとすると、通常の自然壊変の360倍のスピードに相当する。
講演終了後に私は次のように質問した。「放射能が減衰したということはセシウム自体が消失したか、それが別の元素に転換したか、あるいは放射能を遮蔽するような化合物が形成された可能性が考えられるが、この点についてはどのように考えられますか?」
これについて比嘉教授は驚いたことに、元素転換の可能性も考えてかつてケルヴランの資料を調べたこともあったという。しかし今回の実験結果は量的な面からもその可能性は考えにくいという。むしろEM菌によるエネルギー転換作用によって放射性セシウムが安定したセシウムへと「蘇生」されたのではないかと回答された。
これはこれである意味特殊な元素転換と呼べるかもしれない。だがこの実験データで少し気になるのは、EMを散布していない対照区の放射能も散布区の数値とほぼ同じ下降線を描いていることである。これについて比嘉教授は隣接する散布区のEMの「波動」が影響したのではないかと述べるにとどまった。
対照区とEM散布区の格差が明確に示されていれば納得できるのだが、EMを散布していない対照区も放射能が減衰しているのは、何か他の要因が影響しているのではないかとも考えたくなる。このあたりをEMの「蘇生作用」、「シントロピー現象」と表現することには少し違和感を覚える。
ともあれこの実験についてはまだ中間報告の段階ということなので、最終的な分析結果に期待したいものである。
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