核子クラスターによるシンメトリー
『生物学的元素転換』や『フリタージュの真実』でも紹介しているが、ケルヴランは元素転換が生じるメカニズムとして核子クラスターという概念を提唱していた。これは原子核の内部の陽子や中性子がある種のクラスターを形成しており、それらは条件が整えば非常にわずかなエネルギーで結合・分離するというものである。言いかえるとフリタージュ反応とは核子クラスターの組み換えに他ならず、いわゆる核融合や核分裂とは性質を異にするものとされている。
元素転換において核子クラスターが可逆的な反応を生じるというケルヴランの考えは原子核物理学とは相容れないものであり、ヴィソツキー博士も「このようなフリーエネルギーの源泉は生体系には存在しない。」と述べている。ところが意外なことに核子クラスターという概念自体は現代の研究者にも継承されている。
アメリカの科学者、R・A・ブライトセンの核子クラスターモデル(Nucleon Cluster Model)はその中でも注目に値するものである。このモデルは熱中性子による核分裂を説明するために構築されたものだが、彼によると核子クラスターにはNP,NPN,PNPの三種類が存在するという。ここでNは中性子、Pは陽子だが、これらの核子クラスターによって各元素の同位体には興味深い関係性が浮かび上がるのである。
左の図を見てもらいたい。それぞれのグラフには各元素の同位体がプロットされているが、縦軸のZは原子番号(陽子の個数)、横軸のNは中性子の個数を示している。すると三つの核子クラスターを媒介として各同位体のシンメトリーな関係が明らかになってくる。
このようなシンメトリーがなぜ成立するのかも不思議だが、それと同時に三種類の核子クラスターの役割も興味深いものがある。キエフ・グループの研究ではナトリウム23と燐31によって鉄54が生成する反応が知られているが、この図によるとナトリウムに4つのNPを加えると燐31になることがわかる。
こうした新しい核子クラスターによる理論は、ケルヴラン流の核子クラスターでは説明できなかったフリタージュ反応を解明するヒントになるかもしれない。
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