不可視のメルトダウン
3月11日、私はドイツのレーベンベルグに荷物を送るために郵便局を訪れていた。受付の順番を待っているとテレビからニュース速報が流れてきた。「地震・・」 しかし私はあまり気にとめないまま郵便局を後にした。その後の推移はすでにご存じのとおりである。
日本人との付き合いはないのでさいわい変なチェーンメールが届くことはなかったが、海外からの反響は迅速だった。アメリカのジャックとブルース、ラトビアのエドアルド、そしてウクライナのヴィソツキー博士からも安否を気づかうメールが寄せられた。チェルノブイリを経験しているヴィソツキー博士には特に福島原発事故の状況について報告しておいた。
まだ時間はかかると思うが、原発事故の被害はおそらく終息に向かうと思われる。今回の事故について指摘すべき点はいくつかあるが、それは識者らしき人々に任せよう。
むしろ気になるのは今後のことである。今回の地震は宮城沖だけではなく、長野や茨城など各地にその余波が広がっている。阪神大震災を経験した人なら覚えているだろうが、実はその前後にも北海道南西沖地震のように各地で地震が頻発していた。
テレビの解説者はこれらをプレートの歪による余震と伝えているが、本当にそう言えるのだろうか。もしそうであれば震源地はプレートの境界に集中するはずである。
実のところプレートの境界が明確に確認されたことは一度もない。かつて東海大学の調査で第一鹿島海山がそうではないかと推測されたことがあったが、これも見かけの割れ目だと結論されている。プレート・テクトニクスは概念モデルとしては有効だが、きわめて実証性に乏しい都市伝説のようなものである。
そして地殻としてのプレートを動かしているのはマントル対流である。しかしながら地質学者の誰一人としてこのマントル物質を目にした者はなく、実際のマントルの動きは把握されていない。逆にいえばマントル対流の活動が不明だからこそ、薄っぺらなプレートの力学に頼らざるをえないのである。
はたしていまマントルの次元で何が起こっているのか。核弾頭の何百万倍ものエネルギーをもつその「炉心」がメルトダウンしているとしたら、それは原発事故のレベルではすまない事態が引き起こされるだろう。その意味で、この震災はまだ終わってはいないのである。
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