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2011/01/21

フォートヒル培養菌

フリタージュ三部作が完成した今、次に目指すべきはケルヴラン以降のフリタージュ研究である。その中心となるのはやはりキエフ・グループの研究になるだろうが、元素転換説を検証しようとしているのは彼らばかりではない。数は少ないが他にも地道な研究を進めている人物がいる。

その実例として2002年にフォートヒル培養菌を使用した実験を行なったS・P・フェイレ博士とN・レイターを取り上げてみたい。彼らの研究については以下のサイトにその一部が紹介されている。

http://research.whnlive.com/BiologicalFusion/

それによると彼らはフォートヒル培養菌と呼ばれる微生物をトリウムやウランなどの放射性元素を含む培養基で繁殖させ、その放射能の変化を測定したところ予想外の変動が観察されたという。またEDSアナライザーによる成分分析を行なった結果、説明しがたい生成物も見出されたようである。

2002年9月に行なわれた最初の実験では、豆乳ベースの培養基にトリウム化合物が添加され、ガイガーカウンターでその放射能が測定されているが、実験開始から3時間後に放射能は上昇しはじめ、36時間後には当初の2倍のレベルに達したという。そのピークの後には少しずつ減衰していったことがグラフで示されている。またEDSによる解析では当初含まれていなかったレニウムやビスマス、タングステンなどのピークが現われたことが報告されている。

このフォートヒル培養菌は偶然発見されたアスコマイセト・ジャイロミトラの一種と考えられているので、キエフ・グループが使用している放射能耐性菌などではなく、おそらく子のう菌の一種であろう。またトリウムは通常トリウム系列と呼ばれる壊変作用を生じるので、これほど短時間にこのような重金属を生成することはまずありえないと思われる。

フェイレ博士は元素転換の可能性についてはきわめて慎重な姿勢を示しているが、それ以外に示唆されている解釈も明確には検証されていない。

もちろん彼らの実験はキエフ・グループのものとは様々な相違点があるので一概に比較はできないが、もしかするとそこには私たちがまだ把握していない相互作用の本質が存在しているのかもしれない。

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2011/01/12

未来のフリタージュ工学

昨年の年末、NASAから「宇宙生物学上の発見」という研究の公表が行なわれた。「宇宙人の発見か?」という巷の観測をよそに、その公表された内容はヒ素を食べる細菌に関するものだった。

それは天然のヒ素を多く含むモノ湖の堆積層から発見されたGFAJ-1株という細菌で、培養研究の結果、燐の代わりにヒ素を代謝することによって増殖していることが明らかになったという。

過去の中毒事故や犯罪報道で知られているようにヒ素は有害物質である。そして元素周期表では窒素や燐と同列にあり、化学的には同じ電子価をもっている。したがって窒素や燐の代わりに代謝サイクルに取り込まれることがあっても不思議ではない。

またこれまでにも熱水鉱床などの生存が厳しい環境に生息する「極限環境微生物」は数多く見つかっているので、ヒ素を代謝するだけの微生物ならそれほど目新しいことはない。今回の発見の重要な点はGFAJ-1がヒ素を有害な生体異物として代謝しているのではなく、燐の化学的な代替物としてDNAの中にまで取り込んでいるという点にあるようである。

キエフ・グループの研究で効率的なフリタージュ反応を生じるとされるMCT(微生物触媒転換体)はカドミウムや水銀などの有害金属や放射性元素を吸収・蓄積する能力をもっている。これらの元素が微生物の細胞に吸着されるのは、細胞の輸送系やレセプターが立体化学的に類似する分子やイオン半径の近似した原子を代替置換する許容性をもっているためである。

ヴィソツキー博士によると、代謝作用に必要とされるマグネシウムやカルシウムなどの主要元素のイオン半径は一般に三つの領域に区分され、それぞれの領域に近接するイオン半径をもつ金属元素等が置換的に相互作用を生じるという。そしてその延長上にある特殊な反応が元素転換と考えられている。

「ヒ素を食べる細菌」のケースでは燐のイオン半径は1.57Å、ヒ素のイオン半径は2.08Åなので、わりと近いといえるかもしれない。ただ注意しなくてはならないのは、MCTが重金属をあくまで生体異物として反応しているのに対し、GFAJ-1はヒ素を有害物質と認識しつつもそれをDNAまで取り込んで同化しているという点である。その意味で両者の適応プロセスは対照的なものといえるだろう。

しかしおそらくGFAJ-1も苛酷な生存環境の中でヒ素を利用する能力を獲得したに違いない。これを環境条件の変化に適応する共生組織であるMCTに組み込むことができれば、これまでとは異なる反応が生じる可能性もある。

今回の公表はたしかに一つの発見ではあるが、その価値が本当の意味で評価されるのは未来のフリタージュ工学においてなのかもしれない。

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2011/01/06

意識の盲点

2011年という新しい年が始まった。新春に向けて期するところはあるが、それよりも21世紀になってからの過去10年間にわたって私たち人間はいったい何をしてきたのかという思いのほうが強い。

これがかつて夢に描かれた21世紀の人類の姿なのか。。地球人の進歩のレベル、そしてその盲目的な幻想にがく然とするのは私だけだろうか。

新年のような節目において、人は誰しも心機一転という言葉を口にして、今年の目標と定めたことを実現しようと思うものである。それ自体は結構なことだが、問題はその意識レベルにある。

人間はそれぞれ向上心や願望をもっていてそれを叶えようとするものだが、その人自身の意識レベルによってその結果は左右される。簡単にいえば、人は通常自分自身の意識レベル以上のことは実現できない。

自分の意識レベルに近いものは好き嫌いに関らず、自分にとってごく普通の、当たり前のことに感じられる。だから仮に他人から欠点を指摘されても、自分にとってそれが普通であれば全く意識化できないということになる。

おそらくこのあたりに私たちの盲点があるのではないだろうか。思考回路も意識レベルも全く変わらないまま「心機一転」して何かを実現しようとしても、違うことを同じレベルで繰り返すだけである。すると結局、これからの一年はこれまでの一年とほとんど大差のないものになるに違いない。

もちろん殊更のように何か大きな事を起こそうとしなくてもよいだろう。しかし、繰り返される日常の中で意識ベルを研ぎ澄ましていくと、これまで気づくことのできなかった自分の意識の中の盲点が明らかになってくるかもしれない。

今年はそのような意識化を心がけて、内的なレベルを高めていきたいと考えている。

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