ガラス細工の地球
『生物学的元素転換』、『フリタージュの真実』、そして今回の『地質学における微量エネルギー元素転換』が完成したことで、ケルヴランに関するフリタージュ・ブックス三部作が完成したことになる。これを一つのステップとして来年からは新しい活動を展開することになるだろう。
今回の著作の中でケルヴラン自身はあまり触れていないが、フリタージュの観点から地球の形成過程を考察してみることも興味深いと思う。
教科書やNHKの番組などでは原初の太陽系で岩石や塵が衝突し、重力的にまとまることで地球が形成されたというストーリーがよく語られている。しかし本当にそのような粗雑なプロセスでこれほどきれいな惑星が生み出されるのだろうか?
たとえば土星の輪を考えてみよう。美しい縞模様を作り出している輪の成分は無数の岩石や氷だといわれている。ではその氷や岩石が衝突して一つの衛星になると考えられるだろうか?もしそうだとすれば、土星の衛星はなぜ輪と離れた位置に軌道を描いているのだろう?
おそらく超新星の残骸を取り込まないと重い元素の存在を説明できないから岩石の衝突などを持ち出しているのだろうが、金やプラチナ、ウランなどの成因は超新星の爆発でも説明できないという。
ケルヴランの考え方はそれとは全く異なっている。まず原始太陽雲で濃集した水素やヘリウムから窒素などの軽い元素が作られ、その窒素が珪素に転換する。これが原始の地球の主成分となる。
そして炎で溶けたガラス細工のような地球の中で少しずつ変化が生じはじめる。その表層部では珪素からアルミニウムへの転換が始まり、花崗岩に近い岩石へと変容していく。これが後の大陸地殻の構成成分となる。
一方、数十kmの地下深部では珪素からマグネシウムへの転換が進行し、玄武岩質の鉱物組成へと変わってゆく。これはその後の海洋地殻を形成するものである。さらにそれより深い地中内部では珪素から鉄へのフリタージュが生じ、そこからより重い金属元素の生成へとつながっていくのである。
つまり大陸地殻ではSi→Al、海洋地殻ではSi→Mg、マントルではSi→Feという元素転換が生じ、その後の地球化学的な進化の節目になったとケルヴランは考えていたのである。そしてこれらの反応を主軸として、水素や酸素を核子クラスターとする反応が枝分かれ的に進行していくことはいうまでもない。
ガラス細工の地球とは一見幻想的なイメージだが、珪素は地球上で二番目に多い元素でもある。このような観点から今回の著作を楽しんで頂きたいものである。
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