秋のひととき
北海道の木工作家、勝水喜一氏が久しぶりに倉敷で個展を開催されるという案内状が届いた。ようやく『地質学における微量エネルギー元素転換』の出稿も終わったので、その会場であるサロンを尋ねることにした。
おそらくは古い蔵屋敷を改装したと思われるその建物を訪れると、古風なつくりの調度品とともに勝水氏の木工作品が展示されていた。障子越しにこぼれる秋の日差しを受けて静かな光をたたえていた。
2年前に訪れたときには『生物学的元素転換』を氏の作品の一つと交換したわけだが、その後本格的に無肥料栽培に取り組んでいるという。今年の猛暑にも関らずダイコンやニンジンの生育は順調だったそうである。やはりいろいろと熱心に勉強されているらしく、その成果が現れたのは素晴らしいことである。
幾度となく書いているが、『生物学的元素転換』は元素転換説への基本的な入門書であり、栽培技術のノウハウを記したものではない。それでも無肥料栽培を志す多くの方にお読み頂いているのはありがたいことである。またそのような方への参考資料として「錬金術師の道程」を最終章として作成している。
勝水氏の作品を観て感じられるのは素材に対する愛情である。木材を乾燥させる工程で割れないように細心の注意をはらい、その過程で生じる微妙な湾曲が作品づくりに活かされている。そこには自然のもつ生命力を活かそうとする無肥料栽培に対する姿勢と通じるものがある。
ひとつ面白いと思ったのは表面処理に使われている鉄分を含んだ漆に話が及んだときである。私は鉄分の粒子と同じ大きさの別の金属も使用できるのではないかと考えた。植物の細胞や微生物が同じイオン半径の金属粒子を吸収するということはヴィソツキー博士の著作にも記されており、そのような同化・濃縮のプロセスは元素転換にも関連しているという。
すると勝水氏は乾燥工程で落下した木材に不思議な縞模様が浮かび上がったことを話してくれた。その成因ははっきりしていないようだが、現在その色合いを再現するためにいろいろと試行を繰り返しているとのことである。
話を終えてサロンの外に出ると、色づいた紅葉が暖かい夕陽に照らされていた。向上心のある勝水氏のことだから、おそらく次にお会いするときにはその不思議な色合いの作品を作り出しているかもしれない。その夕陽を眺めながら、私自身も味わいのある作品を作り続けていきたいと静かに感じていた。
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