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2010/08/23

量子的ピラミッドとフリタージュ反応

ようやく新しい『生物学的元素転換』を完成することができて、夏休みの宿題が終わった気分である。そこで最近は少し趣向を変えてY・K・ディディクとE・M・アスタフィーバの著作『原子構造の鏡像対称性と元素の周期性』について調べている。いわば夏の自由研究である。

この著作の第4章は「微量エネルギー元素転換の理論的根拠」と題し、ケルヴランの元素転換説やキエフ・グループの研究を紹介している。彼らは原子構造の研究に基づいてフリタージュ反応を理論的に説明しようとしているようだが、あいにくロシア語の専門書のためその詳細についてはまだ把握できていない。ちなみに昨年来日したヴィソツキー博士にこの著作を見せたところ、興味深そうに目を通していたが、この二人の学者とはまったく面識がないとのことだった。

彼らのいうところの「原子構造の鏡像対称性」とはどうやら量子数に基づく各元素の状態量の対称性を示しているようである。私たちが通常目にしている元素周期表は累進的な元素の周期性に基づいて作成されているが、各元素の状態量に基づいてレイアウトすると少し変わった構成になる。

Aug23143_2 左の図はそれを模式的に示したものだが、カルシウムまでの各元素はこのような鏡像対称の関係にあるという。このピラミッドで興味深いのは、対象関係にある二つの元素は酸素クラスターを媒介とする転換関係にもあるというところである。

『生物学的元素転換』には元素周期表に基づいていくつかの転換反応の回路も示しているが、少し煩雑な印象を受ける。その点この量子的ピラミッドはシンプルかつエレガントな構成といえるだろう。

ディディクとアスタフィーバがこのミラーシンメトリーをどのような理論的根拠として捉えているのかはまだ正確にはわからないし、このモデルを適用しにくいフリタージュ反応もあるだろう。しかしこの量子的ピラミッドには、私たちがまだ理解できていない重要な側面が潜んでいる可能性は否定できないだろう。

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2010/08/10

青く萌える花

Aug10139 まもなく『生物学的元素転換』第8刷が完成する。「フリタージュ・ブックス」を見て頂ければおわかりになると思うが、今回の表紙はライトグレーからラベンダーブルーに変更している。しかし表紙だけを変えたわけではない。

2年前に制作した第7刷はそれまでのワープロのテキストファイルをWORDに変換し、さらに画像を読みこんで編集する作業に大きく時間と労力をさかれた。もちろん全体的な内容の校正も行なってはいるが、完成したイメージがつかみにくかった面もあって、一部の編集には不十分な点もあったように思う。

その点今回は、とりあえず完成形となったものをベースにして内容の編集や校正を行なうことができたので、その分完成度は高まったと思う。またいくつかのグラフも新しく作り直してある。

『生物学的元素転換』は1966年の著作である。そこで私はケルヴランのそれ以前の著作に同様の研究例が引用されていることを思い出した。そしてその中の詳細なデータを元にして、より精度の高いグラフを作成し、今回の第8刷に収録している。

さらにRicalとの交流から第9章を大幅に手直しし、ケルヴラン以降の研究者たちについても新しく書き下ろした。これはある意味では新しいパースペクティブの導入ともいえるだろう。またバランジェやヴォークランなどの画像も挿入してヴィジュアル的要素にも配慮したつもりである。

完成予定は9月だが、すでに制作を発注しているので今月中には完成品が届くと思われる。ただし今回の制作部数は30部限定なので、前回のように2年はもたないかもしれない。もしかすると最初に作ったこの本が、自分にとっての最後の本になるような気もしている。

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