量子的ピラミッドとフリタージュ反応
ようやく新しい『生物学的元素転換』を完成することができて、夏休みの宿題が終わった気分である。そこで最近は少し趣向を変えてY・K・ディディクとE・M・アスタフィーバの著作『原子構造の鏡像対称性と元素の周期性』について調べている。いわば夏の自由研究である。
この著作の第4章は「微量エネルギー元素転換の理論的根拠」と題し、ケルヴランの元素転換説やキエフ・グループの研究を紹介している。彼らは原子構造の研究に基づいてフリタージュ反応を理論的に説明しようとしているようだが、あいにくロシア語の専門書のためその詳細についてはまだ把握できていない。ちなみに昨年来日したヴィソツキー博士にこの著作を見せたところ、興味深そうに目を通していたが、この二人の学者とはまったく面識がないとのことだった。
彼らのいうところの「原子構造の鏡像対称性」とはどうやら量子数に基づく各元素の状態量の対称性を示しているようである。私たちが通常目にしている元素周期表は累進的な元素の周期性に基づいて作成されているが、各元素の状態量に基づいてレイアウトすると少し変わった構成になる。
左の図はそれを模式的に示したものだが、カルシウムまでの各元素はこのような鏡像対称の関係にあるという。このピラミッドで興味深いのは、対象関係にある二つの元素は酸素クラスターを媒介とする転換関係にもあるというところである。
『生物学的元素転換』には元素周期表に基づいていくつかの転換反応の回路も示しているが、少し煩雑な印象を受ける。その点この量子的ピラミッドはシンプルかつエレガントな構成といえるだろう。
ディディクとアスタフィーバがこのミラーシンメトリーをどのような理論的根拠として捉えているのかはまだ正確にはわからないし、このモデルを適用しにくいフリタージュ反応もあるだろう。しかしこの量子的ピラミッドには、私たちがまだ理解できていない重要な側面が潜んでいる可能性は否定できないだろう。
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