The Eighth Edition
資料を送ったRicalからは短い感謝のメールが届いた。いずれ彼がその本質をつかもうとするとき、おのずと新しい疑問が湧いてくることだろう。そのときに議論を深められることを楽しみにしたいと思う。
Ricalとの交流は短いものだったが、それは私に一つの啓発をもたらした。資料や情報の点では私の方が彼をはるかに上まわっていたが、フリタージュ研究を歴史的文脈から捉えかえすという視点を再認識させられることになった。そしてそれを改訂中の『生物学的元素転換』にできる限り反映させようと思い至ったのである。
思えば日本人は、これまでケルヴランの元素転換説を否定するか肯定するかという短絡的視点しか持ちえなかったようである。最初に抱く関心はそれでもかまわないが、いつまでも同じ所を堂々めぐりしているようではいけない。『フリタージュの真実』はそのレベルを超越するための作品でもあった。
だが多くの人々はそこまでたどり着けないという現実を目にして、私は人間というものを深く諦めざるをえなかった。その諦めの下にひとり道を進む虚しさを感じていた。
どんな道でもそうだが、頂上から「登ってこい」と叫んでも誰も後にはついてこない。各人のレベルに合わせた登頂ルートの整備が必要である。私でいえばフリタージュ・ブックスがその役割を担っている。そこですでに完成しつつあった『生物学的元素転換』の内容をもう一度吟味し、ケルヴランを軸としつつもそれ以前の研究、そしてケルヴラン以降の研究者についても新しく書き下ろした内容を加えることにしたのである。
先日ようやく制作を依頼することができたのだが、9月には新版となる第8刷をリリースできると考えている。そしてそれはかつてない充実した内容をそなえたフリタージュの入門書となることだろう。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント