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2010/05/24

暗号名はフリタージュ

最近実に興味深い研究を知り、ひそかに注目している。それは東京大学の澤井准教授による粘菌に関する研究である。粘菌というと南方熊楠の研究が有名だが、澤井准教授が研究した粘菌は南方のものとは少し異なり、数十万個の単核細胞が集合した細胞性粘菌と呼ばれるものである。

この細胞性粘菌は、養分が欠乏してくるとそれぞれの細胞がサイクリックAMP(cAMP)という物質を放出するようになり、やがてその頻度が増えてくると中心となる細胞領域から一定周期の信号波としてcAMPの濃度変化が生じるようになる。するとその信号を受けた細胞はcAMPの発信方向へと集合し、胞子(子実体)を形成して別の場所へと移動するというのである。

May24102 左の図がそのcAMP振動の発生状態を示すものだが、最初はバラバラな形で生じていたcAMPが次第に集合的な信号に変化し、最終的には6分周期でcAMPを発信する領域が形成されることを示している。

この細胞性粘菌は土壌の中に広く分布しているそうだが、土壌中の微生物がどのような形で相互にコミュニケーションをとっているのかについてはまだほとんど解明されていない。その意味で今回の澤井准教授の研究はその一端を示すきわめて画期的なものだといえるだろう。

ちなみにサイクリックAMPはATP(アデノシン三燐酸)から合成されるもので、それほど特殊な物質ではない。『フリタージュの真実』にも少し記しているが、大腸菌のカタボライト・リプレッションが解除され、ラクトースオペロンが作動するときにもこのcAMPが増加するという。微生物にとってcAMPは生存の危機を知らせる重要な通信手段のようである。

ここで想い出されるのはキエフ・グループのMCTである。様々な微生物が共生関係を構築しているMCTと単一種属の粘菌ではおそらく分子間ネットワークも異なるだろうが、この研究のように活性状態のMCTにおけるcAMP振動の信号形態を調べてみると何か特徴的な発見があるのではないだろうか。澤井准教授も「cAMP振動の周波数には環境情報が記録されている」と述べている。

それではフリタージュ反応が生じるときにMCTの各微生物が共有するcAMP振動にはどのような情報が含まれているのだろうか?そこに含まれる暗号の解読に成功したときに、初めて私たちは人工的にフリタージュ反応を制御できるようになるのかもしれない。

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2010/05/17

フリタージュ・ブックス

そろそろ在庫もなくなってきたので、このあたりで『生物学的元素転換』の頒布を休止させて頂きたいと思う。新版制作に向けてのオペも開始しているが、再版の予定は今のところ未定である。制作のめどがついた段階で改めてご案内することにしたい。

内容の校正は少しずつ進めているが、実のところかなり難航している。もともとグラフや図が多いため編集しにくい著作ということもあるが、私は大学生の頃にこの原書を入手し、断続的に翻訳を進めてきた。そのため句読点をつける等の言葉の感覚が自分の中でも変化している。また漢字で書いても間違いではないが平仮名にしたほうが読みやすい場合もある。何より翻訳当初は核子クラスターというフリタージュの基本概念もつかめていなかったため、忠実な翻訳を目ざすあまり、字義にとらわれた文章表現になっていた感は否めない。そのようなわけで、今なおお問い合わせ頂いている本書の頒布を休止することは心苦しい限りだが、なにとぞご了承頂きたい。

今後頒布可能なフリタージュ・ブックスは当面のところ『フリタージュの真実』と『MRETウォーター』の二作になるわけだが、この機会に少しお願いしておきたいことがある。

当方にメール等でご注文頂いた方には基本的に郵便振替用紙をお送りしている。そしてお振込み頂いて一週間前後で発送しているのだが、振替用紙を送ったにもかかわらず、その後ご連絡もお振込みも全くない方がたまにいる。

もちろん注文は個人の自由であり、気が変わることもあると思う。しかしお振込みがあるまでこちらは在庫を確保して待たなくてはならない。そしてその間に他の方からご注文があった場合には対応に困る場合もある。せめて手続きが遅くなる場合には一言メールでご連絡頂きたい。

こういったことは些細なことかもしれない。しかしこのちょっとした事を大事にする方にこそフリタージュの世界をご案内したいと願う次第である。

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2010/05/06

ゼロ磁場とMRET

ときどき耳にする言葉に「ゼロ磁場」というものがある。これは地球磁場が何らかの原因で局所的に消失している場所のことを示しているらしい。日本国内にもそのような地域があり、そこに行くと方位磁針がずっと回り続けるという。

ゼロ磁場といわれる領域が本当に実在するのかどうかはわからないが、もし存在するのであればもう少しいろんな情報を知りたいものである。たとえばその土地に湧き出る天然水に変わった性質があるとか、微生物などの生態系に特徴的な傾向が見出されるなら興味深い。

ゼロ磁場から連想されるものはMRETウォーターの構造原理である。ここでいま一度確認してみることにしよう。

May0693 左の図はMRETアクティベーターの概念モデルだが、まず発振体上部の電子回路から光学パルスが発振される。その光学パルスは下部のポリマー化合物に照射されるが、このポリマー化合物の中には非常に弱い磁石がクロス状にレイアウトされており、対向する弱い磁場を形成している。これはホッチキスの針さえくっつかないほど弱い磁場だが、パルス信号を受けたポリマー化合物に励起される電磁気的作用を配向させるためのものである。これによって発振体の下部から低周波電磁波が照射され、水を活性化させる仕組みになっている。

May0694 ちなみにアルファラボ社の磁束計によって計測されたMRETの発振体の磁束密度が左のグラフに示されている。

ゼロ磁場自体に特別な関心をもっているわけではないが、そこには地球磁場を打ち消す何らかの原因があるのかもしれない。そしてその特別な環境条件が天然水に影響を与えることは十分に考えられる。逆にいえば、水を調べることによってその土地を知ることができるといえるのだろう。

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