微生物・金属・細胞
前回までRMMテクノロジーの概要について述べてきたわけだが、キエフ・グループの研究としてはこのRMMとMRET、そしてMCTが研究の三本柱である。
RMMとMCTは同じMBCを使用しているので研究領域としてはかなり密接な関係があるが、MRETは少し独立した印象を受ける。しかし昨年末に来日したヴィソツキー博士はRMMテクノロジーにもMRETが導入されていると話していた。RMMのどの部分にどのような形でMRETが導入されているのか詳細については聞くことができなかったが、いずれにしても彼らがこうした研究を複合的に進めていることは間違いない。
そしてこれらの研究のさらに核心部分を示すキーワードを上げると「微生物・金属・細胞」の三つになる。
MCTやその他の微生物がなぜフリタージュ反応を生じるのか。その要因について彼らは『生体系における同位体の元素転換と核融合』の第6章で、微生物の元素組成を中心に検討している。
私たち人間を初めとする動植物や微生物の元素レベルの組成は遺伝情報に基づいて組織化されており、各種属において固有の組成比が維持され、その成長と繁殖において実質的に一定のままである。そしてその組成は大別して酸素や水素などの生体元素と亜鉛や鉄などの必須微量元素によって構成されている。
微生物においても各種属に固有の元素組成があり、そしてその組成比や含有量を一定に保とうとするホメオスタシス的な機能が存在する。もし環境条件や生理学的条件の変化によって元素組成を維持する代謝プロセスに支障をきたした場合は、それを代償・補完するための機能が発現すると考えられる。その究極的な作用が元素転換反応ではないかと彼らは述べているのである。
その一例として彼らは培養基の成分を変化させた微生物による転換実験を行なっており、セシウムのような微量元素を加えることによって鉄54の生成が促進されたことを示している。
ただし、こうした現象の本質的な理解には微生物と金属の相互作用を細胞レベルで解明していく必要性がある。ヴィソツキー博士はこれに関してロシアの微生物学者とコンタクトをとって研究を進めているらしい。いずれその新しい知見が示されることを期待したい。
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