RMMテクノロジー概論(3)
それではMBCの具体的な処理反応をいくつか見てみることにしよう。
まず最初の写真はクロム酸塩溶液の入った試験管だが、5000ppmのCr(6)が7日間で完全にCr(3)に還元されたことを示している。
次の写真は10000ppmの銅イオンを含む硫酸銅溶液だが、これもMBCによって10日間で還元されていることがわかる。
三番目の写真はアニリン染料<ストレート・ブルーKU>の還元分解だが、MBCを構成する微生物はアニリンのベンゼン環を電子レセプターと してメタンや二酸化炭素を生成する反応を行なっている。
こうした還元反応におけるパラメーターの変化は水銀の還元処理において測定されている。グラフ上の線1は酸化還元電位、2はpH、3は水銀イオンの濃度、4は光学濃度の変化を示している。1000ppmの水銀が3日間で完全に還元されていることが読み取れる。
このような処理反応を行なうMBCについてタシレフ博士は以下のような 特長を上げている。
(1)耐溶性:MBCは溶液中に安定して存在し、2~3年間はその構造を維持できるので、吸着した生体異物を安全に回収することができる。
(2)適応性:MBCはその代謝作用において非常に広い適応性をもつ共生組織を構成している。
(3)自律性:MBCには長期間にわたって有効に作用するための代謝調整物質・pH緩衝剤や栄養分が含まれているため自立的な代謝活動を行なうことができる。そのため排水の成分やpHを調整する必要性がない。
(4)経済性:MBCの製造には廃棄物が有効利用されているので低コストで大量生産することが可能である。
微生物を利用したバイオマス技術は日本国内でも実現されているが、RMMテクノロジーはこのような特質をもつMBCを効率的に活用した技術であり、設備投資の面でも小回りのきく応用性をそなえていると言えるだろう。
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