フリタージュ50周年
今年はケルヴランが元素転換説を公表してちょうど半世紀に当たる年である。フリタージュに関する彼の最初の論考「異常な代謝収支と生物学的元素転換」は『レヴュー・ゼネラル・ド・シアンセ』の1960年7-8月号に掲載されている。
私はこの論文のコピーをデータベース業者から入手し、その翻訳を『フリタージュの真実』に収録している。だが最近になってこの文献の原書をフランスの古書店から入手することができた。B5版より少し小さい76ページの雑誌だが、ケルヴランの論文は巻頭から14ページにわたって掲載されている。
ケルヴランはJ・ロンバールの要請によってこの論文を1959年末に出版社に渡したそうだが、発行上の都合によってその掲載が遅くなったそうである。そのためケルヴラン自身は元素転換説の確立された年を1959年と捉えていた。しかし文献的に確認できる資料としてはこれが最初のものなので、1960年を起点と考えても誤りではないだろう。
この『レヴュー・ゼネラル・ド・シアンセ』は『シアンセ・エ・ヴィ』のような通俗的な科学雑誌ではなく、フランス科学振興協会の機関紙の役割も果たしていた。ちなみにこの団体はフランスの高名な生理学者クロード・ベルナールによって創設されたもので、現在も存続している。少し調べてみると比較的簡単にこの組織のサイトを見つけることができた。(http://www.avancement-sciences.org/)
この雑誌の巻末にはフランス科学振興協会の活動に関する記述があるが、ケルヴランに関連するような人物の名前は見当たらなかった。しかし1968年の『レヴュー・ゼネラル・ド・シアンセ』にケルヴランの著作への書評を寄稿したR・フロンがアフリカの鉱産資源に関する報告を行なっていることが確認できた。もしかするとJ・ロンバールの依頼を受けたR・フロンがケルヴランの論文公表を取り計らったのかもしれない。
フリタージュ50周年といってもことさらの企画を構想しているわけではないが、その半世紀の歴史をいま一度検証する機会として捉えたいと考えている。
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