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2009/12/25

Nuclear Bio-reactor

ヴィソツキー博士が率いるキエフ・グループはこれまでに様々な培養菌や微生物触媒転換体(MCT)を使用した元素転換実験を行ない、その成果を自らの著作やICCFの論文として公表している。

このMCTは多種多様な微生物の共生組織とされ、環境条件に対する全体的な共生化作用が元素転換反応に大きな役割を果たしていることは『フリタージュの真実』に収録されている論文でも述べられている。だが、それでは一体MCTがどのようなものかについてはいずれの論文にもわずかな記述しか示されていない。

今年9月に来日したヴィソツキー博士は持参したCD-Rに収録されていた二つの動画ファイルを会場で上映した。それはタシレフ博士のRMMテクノロジーに関するものだった。

Dec25021 残念ながらその動画ファイルをここにアップすることはできないが、その中に microbial granules (微生物顆粒)というものが出てくる。ヴィソツキー博士によれば、若干成分は異なるものの、この黒い物質がMCTとほぼ同じものであるという。RMMの動画ファイルではこの微生物顆粒が廃水を浄化処理する実験プラントに使用されていた。

タシレフ博士はこの微生物顆粒をMBC(microbial catalyst)と呼んでおり、1992年に特許を取得しているという。その数年後にヴィソツキー博士に依頼され、元素転換の実験用に成分調整したものを提供するようになった。それがMCTということになるらしい。

ヴィソツキー博士の話では、当初はロシアのガマレヤ研究所のサモイレンコ博士に培養菌の調整を依頼していたが、サモイレンコ博士は高齢で、ウクライナから距離も離れているため、キエフ微生物学研究所のタシレフ博士に協力を仰ぐようになったという。

MBCとMCTがほぼ同じものであるなら、MBCを使用したRMMの実験プラントでもフリタージュ反応が生じている可能性がある。しかしタシレフ博士はあくまで化学的な分析しか行なっていないので、その検証は今後の課題といえるだろう。またタシレフ博士の特許についてもいずれは研究推進のために開示してもらいたいものである。

来るべき年に新たな知見が開かれることを切に願ってやまない。

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2009/12/18

『地質学における微量エネルギー元素転換』

2005年にリリースした『微量エネルギー元素転換の地質学と物理学における証明』が完売になって久しい。当初ワープロだったテキストもWORDに変換してひと通り校正も終えている。また画像やグラフもスキャナーで読み込んで手直しをしているので、再作成は難しいことではない。

しかしこの翻訳書は約150ページ近くあり、制作するとなると一定部数を発注する必要があるので、資金的にも当面制作する予定はない。

それとともに内容的にも大幅な改訂(というより改作)を行なう構想の下にいくつかの作業を進めている。その一つにG・シューベルの論文の翻訳がある。

『フリタージュの真実』でもおわかりのように、G・シューベルは晩年のケルヴランの研究活動を支えた地質学者である。先の翻訳書においてケルヴランは数多くの情報をG・シューベルから入手している。しかし彼はその一次資料を明確に提示しないまま、フリタージュの観点から内容を論評しているので、非常に理解しにくい著作になってしまっている。

そこで私はケルヴランが明示していないG・シューベルの論文の内容を明らかにすることによって、地質学におけるフリタージュの本質的な問題点を浮き彫りにしようと考えている。

Dec18020 たとえばG・シューベルが元素転換の可能性を示唆した地下核実験では、爆発空洞部から11本の試錐コアが採取され、それらの鉱物に含まれる元素の変動が調査されていたことが判明した。さらに隕石クレーターの調査についても具体的な分布図などのデータが得られている。

G・シューベルはユネスコの資源調査活動も行なった地質学者として知られている。彼の研究内容を明確にすることによって問題の本質がより鮮明になってゆくだろう。それらの成果をフィードバックした新しい著作という意味合いもこめて『地質学における微量エネルギー元素転換』というタイトルを冠したいと考えている。

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2009/12/08

核子クラスターの幻影

これまでキエフ・グループの研究を数多く取り上げてきたが、ここで一度原点に立ち戻ることにしよう。

HPをご覧頂いた方はおわかりだと思うが、ケルヴランのフリタージュ理論では水素と酸素が核子クラスターとして様々な元素と結合・分離して元素転換が生じるとされている。その正否はともかくとして、MCTの元素転換実験を知る私たちはそれをどのように捉えたらよいのだろうか。

ここでは核子クラスターを中心に考えてみることにしよう。ケルヴランの理論体系では元素転換反応を媒介する存在として位置づけられているが、水素・炭素・酸素、そしてアルファ粒子・重陽子がそれに含まれるという。

MCTを使用した実験ではマンガンが重陽子と結合して鉄57を生成する反応がある。またバリウムと炭素が結合してサマリウムに変化し、放射能が減衰したという実験結果も報告されている。これらについては核子クラスターとしての概念は有効といえるかもしれない。

だが残る水素・酸素・アルファ粒子はキエフ・グループの反応式には出てこない。ただし巨大地震が地殻内部の水素核融合によって生じるという説(ブラックライトプロセス)もあるので、もしかすると何らかの形で再認識される可能性は否定できないだろう。

問題はナトリウムと燐によって鉄54が生成されるという反応である。この反応には核子クラスターらしきものは存在しない。ナトリウム23と燐31はいずれも同位体比が100%である。似たような元素にアルミニウム27があるが、この原子二つが結合しても鉄54に転換することは理論的に可能である。

しかしそこには単純に割り切れない問題があるのだろう。それは各原子核内部の条件、そして転換反応を生じる量子的メカニズムによる規制があるのかもしれない。

ケルヴランの理論によるところの核子クラスターは必ずしも正当な存在ではなかったかもしれないが、MCTによるフリタージュ反応を理解する上での試金石の役割を果たしてくれるのではないだろうか。

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