Xenobiotics
9月の下旬にヴィソツキー博士とタシレフ博士が来日することがほぼ確実な見通しとなった。
この会合では彼らのもつBNPT(生物触媒浄化処理技術)の導入について議論が行なわれる予定だが、交渉をスムーズに進めるために私は彼らに資料を事前に送ってもらうように依頼していた。
しかし彼らはこの要望に応えようとはしなかった。おそらく特許の関係もあるため、情報の流出をおそれてのことかもしれない。
そこで私はこれまでの調査結果を踏まえて、新たに彼らの研究について調べてみた。
今回の会合のキーパーソンはヴィソツキーではなくタシレフである。
このタシレフ博士の研究についてはこれまでヴィソツキー博士の共同研究者としての情報しかなかったが、調査を進めていくと次第に興味深い事実が明らかになってきた。
オレクサンドル・タシレフ博士はキエフ微生物学研究所の極限環境微生物学部の主任であり、またウクライナ南極科学センターの副所長でもある。彼は微生物による浄化処理研究を専門としており、その技術に関していくつかの特許を取得しているらしい。
ちなみにBNPTに関してはヴィソツキー博士のMCTが使用されているが、それと同時にタシレフ博士のRMM(微生物代謝調節技術)も大きな役割を果たしているという。図式的にいうと BNPT=MCT+RMM という構成になる。
RMMとはその名のとおり、微生物の代謝作用を人工的に調節して様々なゼノバイオティクス(生体異物)を処理する技術と考えられる。
このRMMとMCTを総合的に応用したBNPTは、大きく分けて以下の三つのゼノバイオティクスを処理することが可能であるという。
(1)動植物を原料とする食品廃棄物
(2)重金属や有機化合物を含む工業廃水
(3)原子炉の冷却水などを含む放射性廃棄物
ちなみに(1)に関しては、ウクライナの南極基地「アカデミク・ヴェルナドスキー」で食品廃棄物のゼロ・エミッションを達成しており、(2)についてはクロムや水銀などの回収処理を実現しているという。(3)についてはこれまでMCTに関して報告された実験成果によって十分理解されるだろう。
来日時に彼らはこれらの研究内容を撮影したCD-Rを持参して上映する予定だという。
BNPTの全貌がそこに明らかになるとき、われわれはすでにケルヴランの時代は終わったことを認めなければならないのかもしれない。
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