MRETの謎
スミルノフ博士が新しく出版したMRETに関する著作「分子共振作用技術:その生理学における機能的作用」が先日届いた。
この著作はスミルノフ博士の共著者H・フィッシャー博士のフィッシャー・クリニックに注文していたのだが、三週間たっても届かないので連絡を取ったところ、発送に手違いがあったと謝罪してきたといういわく付きである。
これまでに私はMRETに関する論文を個人的にも収集しているし、またスミルノフ博士やヴィソツキー博士からも直接送ってもらっているので、内容的にはほとんど見覚えのある写真やグラフが掲載されており、特別目新しい発見はなかった。
私としてはクラスレート・ハイドレートが生理学的にどのような作用メカニズムを通して効果を及ぼすのか、その辺りに関心があったのだが、基本的にこの著作は一般読者に対するMRETのイントロダクションのような形で制作されているらしく、そのような期待に応える内容とは言えなかった。
また、この著作を読むとヴィソツキー博士が大きな役割を果たしていることがよくわかるが、見慣れない名前の研究者がMRETに関する論文を書いている部分もある。おそらくキエフ大学でヴィソツキー博士の指導の下に研究を行なった人間だろう。
この著作の中で一つ気になる点がある。それはMRETアクティベーターの活性時間についてである。
通常MRETアクティベーターの活性時間は30分とされている。では、その時間を長くしたり短くするとどうなるのか?
以前にプロトトロピー平衡について記したが、この著作の中ではMRETの活性時間を15分・30分・45分・60分と変化させて蒸留水のpHの変動を調べている。それによると30分の場合が一番pHの変動が大きく、また最長二週間にわたってpHが変動し続けるということがグラフで示されている。
ところが、ヴィソツキー博士がMRETによる微生物の抑制作用を調べた論文では、30分活性処理した培養基よりも60分活性処理した培養基の方が抑制作用が強くなったという結果が出ているのである。
もちろん蒸留水と培養基では活性化の影響も若干異なるかもしれないが、60分活性化された蒸留水のpHはさほど変化していない。するとpHの変動と微生物の抑制作用には直接的な因果関係はないということになるのだろうか?
このあたりについてはミルクテストやpH計があれば比較実験を行なうことができるかもしれない。資料の理解を深めながら、今後検討したいところである。
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