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2008/10/21

大地の瞑想

ケルヴランに関心をもつ人の中に無肥料栽培を志す方が多いことは以前にも書いたことがある。
今年の7月に連絡を頂いた麓工房(http://www.k3.dion.ne.jp/~roku-kk)の勝水氏もそのような方の一人だった。

勝水氏は北海道で木工作品を制作している方だが、将来的に無肥料栽培を行なうためにいろいろと情報を収集していた。その過程でケルヴランの元素転換説を知るようになったらしい。

無肥料栽培に関心をもつ方が本を注文される場合には必ず忠告することがある。それはケルヴランの著作はあくまで元素転換説への基本的な入門書であり、無肥料栽培を具体的に実践するための技術について述べたものではないということである。
せっかく関心をもたれた方に水を差すようだが、本の内容が予想と異なるためにがっかりされるのも困ると思うので、注文をキャンセルされることを覚悟であらかじめそのように伝えている。勝水氏も無肥料栽培を実際に始めているわけではなかったので、私は手元にあった無肥料栽培の資料等をお送りして話はそこで終わってしまった。

ところが先日、勝水氏から10月に倉敷で個展を開催するというご案内のはがきが届いた。
フリタージュを通して出会った方と実際にお会いする機会はほとんどない。これも何かの縁かもしれないと思い、私は会場に足を運んだ。

Oct20192 ちょうどお昼休みだったらしく会場には受付の方しかいなかったが、私はゆっくりと展示されている作品を鑑賞していった。小さなお盆から大きな机や椅子といった様々な作品が陳列されていた。
私はこのような世界にあまり詳しくはない。ただ作品に浮かび上がる微妙なラインや木目の流紋には静かな存在感が感じられた。それはまるで大地の瞑想を表しているかのように思われた。

鑑賞を終えてしばらく休んでいると、やがて勝水氏が現れて挨拶を交わした。そして作品に表現されている微妙な湾曲は熱や圧力で加工したものではなく、亀裂を避けながら木質の内部の応力によって自然に湾曲させたものであることを解説して頂いた。
そこには自然を外側から支配してコントロールしようとするのではなく、その内部にある本質的なエネルギーを引き出そうとするテーマが感じられる。そのような作品を作る方が無肥料栽培に魅力を覚えるのも当然だと思われた。

話が無肥料栽培に及んだので、私は見本として持ってきた『生物学的元素転換』を彼に見てもらった。そして無肥料栽培の実践に直接役に立つものではないが、一つの考え方として元素転換というものがあることをお話しさせて頂いた。

勝水氏は私の話を聞いていたが、突如「私の作品と交換しませんか?」と提案した。これには私も少なからず驚いた。こういう世界に疎い私ではあるが、個展を開くような作家の方が自分の作品との交換を申し出られたのである。
結果、ありがたくそのお申し出を受け入れ、『生物学的元素転換』を彼の作品の一つと交換させて頂いた。

お話を伺うと、木工作家として作品作りを続けているが経済的には大変な面もあるそうである。そのような理由もあって無肥料栽培を志しておられるということだが、厳しい北の大地では容易ではない挑戦になるだろう。

それでも彼は木の生命というものを知っている。無肥料栽培への挑戦を通じてその生命観はより深く醸成されてゆき、やがてそれは彼の作品作りにも深く反映されてゆくに違いない。

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