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2008/05/30

MRETのエイズ・レポート

最近のニュースだが、「万病に効く水」を生成する機器を販売する会社がその会員とトラブルになっているというものがあった。こうした事件はこれまでにもあったが、人々の「水信仰」はなかなか根深いものがあると思わざるをえない。

もちろんそれも「宗教の自由」ではあるのだが、日本人というものはそうした健康食品や健康機器に対してあまりにも無批判に受け入れてしまう民族性があるのかもしれない。なおかつそのような製品を販売する業者もプロである。普通の人々にとって難解な科学用語を用いてある程度知識のある人をも納得させる内容のプレゼンを行なっているのだろう。

ここでふと思い出したのが、昨年末に出席したバイオプロのセミナーである。このセミナーで日本法人の社長はMRETウォーターでエイズ患者の皮膚の症状が改善した写真を出席者に見せた。それは少し前に私がバイオプロのスタッフに送付したスミルノフ博士の論文に掲載されていたものだった。

スミルノフ博士のMRETウォーターはアメリカで特許が取得されており、また牛乳をMRET化するとヨーグルトになるなどの形でその効果を確認することのできるものであり、その点では得体の知れない健康食品の類いとは全く異なるものである。
しかしながら、そのセミナーではこのエイズ患者のレポートについて詳しい説明は行なわれなかった。そのためおそらく参加者には、まるでMRETウォーターだけでエイズの症状が改善した印象を与えたように思われた。

この臨床報告はスミルノフ博士がタイのピラヨ博士と共同で行なったものだが、一方のエイズ患者のグループにMRETウォーターを飲用してもらい、別のグループとの比較を行なったものである。その結果、エイズ患者のCD4レベルやウイルス量に変化が見られたという。
ただし、この実験ではいずれのグループもARV(抗レトロウイルス薬)を継続的に投与されていた。したがってMRETウォーターだけで症状が改善したのではなく、それはARVの作用を効率化したと考えるのが妥当である。

バイオプロの社長はこの論文に目を通していたにも関らず、そうしたことには全く触れなかった。これでは参加者はMRETウォーターによってエイズが改善したと考えても仕方がないだろう。
セミナー後に参加者と少し話をしてみたが、彼らはある種MRETに過剰な期待をしている印象を受けた。私は自分が使用して確認できた効果について少し話してみたが、どの程度伝わったものかはわからない。

エイズやアルツハイマーに対するMRETの効果を調査したスミルノフ博士の論文も概括的なものであり、その具体的な作用メカニズムについてはまだ作業仮説の部分も大きい。またヴィソツキー博士は従来の水分子の空間構造とは異なるモデルに基づいた理論を提唱している。そのため、MRETウォーターを理論的に理解することはなかなか難しい面があることも確かである。

しかしながら、たとえMRETをビジネス商材としてしか考えていなくても日本には薬事法などがあり、販売者にはその商品に対する十分な説明責任がある。その点をしっかり踏まえた上で普及活動をしていかないと、末端のコンサルタントが不当な説明で商品を勧誘販売して同様のトラブルが表面化する危険性もあるだろう。
バイオプロの適切な普及活動によってMRETの価値が正しく認識されるように願ってやまない。

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2008/05/22

両刃の剣

皆さんの中でご存知の方も多いと思うが、ウィキペディアに「ルイ・ケルヴラン」という記事がある。これはドイツのヘルムートの勧めで私が少しずつ書いていった記事が元になっているが、最近になってこの記事に加筆されている方が増えているようで、その内容に関して少し議論が生じているようである。

その詳細については問題の記事を参照して頂くとして、私としては正確な出典や情報源が要望されていたので、それについて少しだけ書き加えさせてもらった。本当は、私ならもっと異なる加筆修正を加えるところだが、自分が書いた文章を勝手に他人に変えられるのはあまり楽しいことではない。他の方もそうだと思うので、最少限の加筆にとどめておいた。

議論の対象とされている内容を付け加えた方は、おそらく私の翻訳書をお読みになった方のようである。
私自身、ウィキペディアの記事の書き方に精通しているわけでもないので、私の翻訳書をお読みになられた方が代わりに書いて下さるのは大変ありがたいと思っている。ただ昔から言っていることではあるが、私自身はケルヴランの元素転換説と常温核融合はいったん分けて考えるべきだと思っている。

ケルヴランの翻訳書を読まれる方には様々な動機があり、またその関心も多岐にわたっているので、それぞれが抱く個人的見解について私は何も申し上げるつもりはない。ただ、ウィキペディアの記事としてケルヴランの研究を紹介する場合は、やはりその理念やフォーマットに従うべき点に留意する必要があるのだろう。

また私はケルヴランに関して人と議論することは何もない。したがってウィキペディア上でいかなる議論が行なわれようとそれに参加する意思はないことをお伝えしておく。むしろ私は、ケルヴランの研究に関心を抱く方々がそうした議論を通して理解を深めるために、しかるべきサポートを行なう立場でありたいと考えている。

もし皆さんが私の翻訳書を読まれて、ウィキペディアの記事に加筆されたいのであれば自由に引用して頂いて結構である。また正確な出典や資料について知りたいのであれば、メール等でご連絡いただきたい。記事の完成度を高めるためであれば協力は惜しまないつもりである。

ただし、知識というものはすべからく両刃の剣であることはわきまえておいて頂きたい。自分の見解を正当化するためにそれによって理論武装をしたところで、結局その闘いから得られるものは何もない。私はそのことを錬金術師の闘いから学んだつもりである。

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2008/05/16

錬金術師の道程

すでにお気づきの方も多いと思うが、昨年の夏に制作した「生物学的元素転換」はすでに完売している。もし購入を希望される方は、在庫はあまりないと思うが長生堂センターかサン・スマイルまでお問い合わせ頂きたい。

「生物学的元素転換」は基本的な入門書なので新しい形で制作する必要があると思うのだが、「フリタージュの真実」を完成した今、再び私製本として制作することは考えていない。もちろん同じような形で制作してもよいのだが、できればオンデマンドの形でリリースしたいと考えている。

だが制作を外注するには、まず原稿をWORD化する必要がある。ある程度のテキストはWORD化してあるのだが、「生物学的元素転換」にはいろんな図表もあるので、まだ完全なものにはなっていない。さらに一定のロットをオーダーするには制作資金もそれなりに必要である。残念ながら現段階では「フリタージュの真実」も制作費用の原価償却が取れていない状況なので、制作の予定はいまのところ未定である。

そして内容についても今回大幅な改訂を進めようと考えている。「生物学的元素転換」をお読みになられた方はおわかりだろうが、元素転換に関するケルヴランの基本的な概念を理解できる著作であるとともに、その一方で時代的・内容的違和感を覚える部分もある。特に第9章以降のアインシュタインや当時の原子物理学の話題に依拠した内容は現代のわれわれの関心にはそぐわないものである。それでもこれまでは原書にできるだけ忠実にという方針でそのまま収録していたが、今回の改訂ではこの第9章以降の約20ページを完全に削除し、これまでの調査に基づいた形で新しい原稿を書き下ろそうと考えている。

その一応のタイトルは「錬金術師の道程」と名付けているが、1960年に元素転換説を公表する以前にケルヴランは何をしていたのか、その辺りについても限られた資料から読み解いていきたいと考えている。
はからずも最近になってケルヴランの1951年の論文を入手したのだが、これは電気工学に関するもので「ウィーン・ブリッジとネルンスト・ブリッジによる皮膚のインピーダンス測定の解釈」というものである。

ここでいうブリッジとは比較抵抗測定のための回路で「電橋」と呼ばれるものだが、おそらく皮膚電気抵抗を測定するバイオフィードバック装置などに使用されるものと思われる。ケルヴランはこの論文の中で従来使用されていたウィーン・ブリッジ、ネルンスト・ブリッジを独自に改良した回路「ケルヴラン・ブリッジ」を提示している。これは生命の錬金術師がかつて電気工学においてもその才能を示していたというきわめて興味深い論文である。

制作作業については先のような条件があり、いつ実現できるかは不明だが、以上のような調査内容を踏まえ、「フリタージュの真実」にはストーリー上盛り込めなかったものも取り入れていきたいと考えている。

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2008/05/09

カオス・コスモス・レゾナンス(4)

1971年、A・シモネトンは『食物の放射エネルギー』という著作を公表している。この著作はケルヴランの1966年の著作を出版したル・キュリエ・ド・リーヴルから出されており、ケルヴランはこのシモネトンの著作に6ページに及ぶ序文を寄せている。どうやらケルヴランはシモネトンのいう放射スペクトルがフリタージュとも何らかの関連をもっているのではないかと考えていたようである。

このシモネトンの所説については『植物の神秘生活』(工作舎)にも若干触れられているが、彼はA・ボビスの振り子を使用したビオメトレという測定方法から様々な食物の放射エネルギーを調べたという。

May09118 左がその図だが、基本的には振り子を南北に揺らしてそこから対象となるものを近づけたときに変化する角度によって放射エネルギー値を確定するという方法である。

振り子というと怪しげな占いじみたものにも聞こえるが、スピリチュアル系でいうところのフーチとかペンデュラムというものに近いようである。ただし、そうしたもののほとんどがスピリチュアルな使われ方をするのに対し、シモネトンはあくまで科学的測定方法として確立しようとしていたらしい。つまり考え方としてはダウジング・ロッドに近いといえるだろう。

ダウジングは水脈を探知するために使用されてきたものだが、その具体的な原理についてはいくつか説があるらしい。ただし、水脈の上に来るとロッドが開くという事実は認められている。シモネトンはこのダウジング・ロッドを振り子に置き換え、さらに細かい動きを相対的に数値化することによって放射スペクトル理論を体系化していったようである。

彼の著作の中には水やワインの放射エネルギーやホメオパシーのレメディーのスペクトルなどが示されており、なかなか興味深いものがある。またある個所にはレマール・ブーシェ法で使用されていたカルマゴルの放射エネルギーが5500~6500オングストロームであると記されているが、この辺りはケルヴランから示唆を受けていたのではないだろうか。

このようなシモネトンの所説は興味深いものだが、振り子を使用した彼の測定方法には科学的根拠がないために疑似科学の烙印を押されているようである。もちろんその方法論には問題点もあると思うが、現代であればまた別のアプローチも可能なのではないだろうか?

これまで食事内容は栄養学における成分バランスで語られ、料理はプロの技術と方法論に依存する傾向が強かったが、食物に固有の波動が存在することを認識するのであれば、それらに全く新しい展望が開かれることも考えられる。

そして私たちは、様々な波動を自分で選択して吸収・放射する存在にいずれは進化するのかもしれない。

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