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2008/04/11

カオス・コスモス・レゾナンス

レオン・ゲゲンに『フリタージュの真実』を送付してしばらくたった頃に、ゲゲンからメールが送られてきた。
それは著作の寄贈に感謝の意を示すとともに、これまでの議論を通じて最終的に私がどのような結論を下したのかを知りたいというものだった。
それに対して私は、この著作において目ざしたものが何であるかを彼に伝え、読者に対して断定的な結論を押しつけるつもりはないことを彼に伝えた。
ケルヴランの研究に対する今の私の見解は、彼の論文を農学アカデミーに紹介したH・ノエルアンに近いものといえるかもしれない。だが、私にはフリタージュのメカニズムに関して独自の仮説を考えている。これについて少しその見解を披瀝していきたいと思う。

私たちは学校教育で、物質には粒子性と波動性の両方があると教わった。しかし素粒子の反応を考えるとき、私たちはそのほとんどを物質的な粒子としてとらえている。
だがたとえば量子的トンネル効果を考えるとき、これは核子の波動性を考慮しないわけにはいかない。私たちは粒子であり波動でもある量子的存在について現象論的に偏った捉え方をしているといえるだろう。

この粒子性と波動性という概念は素粒子のような極微の存在だけではなく、天文学的現象にも当てはめることができる。たとえばその一つに「軌道共振」というものがある。
軌道共振とは一定の軌道を公転している惑星や衛星が別の軌道運動をしている天体と力学的な共振作用を生じる現象のことである。たとえば月は常に地球に対して同じ面を向けているが、これは地球に対する月の公転と自転がほぼ一致しているからである。
だが月はそのような自転・公転運動を最初からしていたわけではない。地球の軌道運動に対して長い年月をかけて共振し続けることによって現在のような安定した衛星軌道を描くようになったのである。

このような共振作用は太陽系の中でも様々な形で見出されている。月の場合の軌道共振は自転と公転の比率が1:1だが、水星の自転・公転の比率は3:2になっている。これは水星が太陽と共振していることを示すものである。
また火星と木星の間には無数の小惑星体が存在するが、これらの小惑星は無秩序に散在しているのではなく、テューレ群、ヒルダ群などのいくつかのグループになっている。これらのグループは木星との軌道共振によって形成されており、それぞれの軌道半径は木星の公転軌道と一定の比率を示すものになっているのである。そしてこの共振作用によってカオス的運動を強いられた小惑星の破片は軌道を外れて内惑星の領域に接近する。それが地球の大気圏に突入すると流れ星として観察されるのである。

天体の軌道共振がフリタージュと何の関係があるのか分かりにくくなったかもしれない。
要するに各天体は粒子的存在といえるが、その軌道運動はある種の波動として捉え返すことも可能なはずである。
それでは原子核が一つの太陽系と考えてみるとどうだろう?  そして固有の波動関数をもつ核子クラスターが相互に共振してカオス的反応を生じるとしたら・・・。

この続きは次回に改めて考えることにしよう。

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