季節の節目に
先日『フリタージュの真実』の完成品100部が無事に到着した。さすがにこれまでに制作してきた私製本よりは格段に良い仕上がりになったといえる。ただ、今回の著作にはケルヴランの原書にもないカラーページも盛りこんだため、制作コストはかなりかかった。しかし私個人としては満足のいく仕事ができたと考えている。
大げさな言い方かもしれないが、これで私の人間としての仕事は終わったという感覚さえ覚える。私たちが日常行なっている仕事はほとんどが形として残らないものが多い。しかし、この本は21世紀におけるフリタージュ研究の大きな原点になるものと自負する次第である。
来月にはこれまでケルヴランの翻訳書を購入された方にご紹介のDMをお送りしたいと考えているが、その前にやるべきことがある。それは、今回の著作に大きく貢献してくれた「シーザーの獅子」への報告である。
すでに連絡が途絶えて久しいが、私は新しい著作を2冊フランスに発送した。一つはレオン・ゲゲンに、もう一つはフランス農学アカデミーへ寄贈するためにである。返事があるかどうかは定かではないが、これが彼の信頼に対する私の答えともいえるだろう。
「約束は果たしたぞ、ゲゲン。」心の中でひとつの区切りをつけるように私は呟いていた。遠い異国の地にこの想いが伝わるだろうか。
そしてまた、翻訳した論文の掲載を快く許可してくれたヴィソツキー博士にも一冊送ろうと考えている。ゲゲンにしろヴィソツキー博士にしろ、この著作の内容を読むことはほとんどできないだろう。合理的に考えれば無駄な行為である。だが、彼らの信頼に対してはしかるべきリスペクトを示すべきだと私は考えている。
今後、ケルヴランに関する著作を制作することはまず考えられない。それはケルヴランについての翻訳や調査を中止するということではないが、むしろこの新しい著作の英語版やフランス語版の制作出版を目ざすべきだろう。
今はまだこれからの新しい展開については決められないが、生まれたばかりのこの著作がその運命とともに私を導いてくれるのではないかと考えている。
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