自立と共生
ケルヴランに関心をもつ人には様々な方がいる。無肥料栽培を実践ないし支持されている方はその中でもかなり多い。無肥料栽培自体についてまだまだ認知度が高くない実状もあり、生物学的元素転換を通じてその理解を深めようとされているように思われる。
その無肥料栽培についてのメーリングリストがYahooグループで立ち上げられている。一部の方々にはメールでお知らせしたが、関心をお持ちの方は登録してみるのもよいだろう。http://groups.yahoo.co.jp/group/Natural-Art/をご参照頂きたい。
このメーリングリストには私も登録しているが、無肥料栽培をテーマとしているので、私はあくまでオブザーバー的な形でのみ関わりたいと思っている。フリタージュと直接関係する話題はないにしても、実際にそのような農業に関わっている方の意見を聞くことは大切なことだと思う。
ケルヴランが支持したレマール・ブーシェ法では有機肥料や燐酸石灰、堆肥などが使用されていたので無肥料栽培とは形態は異なっている。しかしながら根圏における元素転換を活性化するためにカルマゴルを使用していた面もあり、J・ブーシェの「生物学的農法の実践概論」によると微量元素のフリタージュなどは考えられていたらしい。
一方「無肥料」栽培といっても、それは「無栄養」ということではないと思う。仮にそこに元素転換を正式に主張するのであれば、ケルヴランやツンデルが行なった発芽実験などの追試が行なわれるべきだろう。
私見にはなるが無肥料栽培のキーワードとしては「自立と共生」という言葉が思い浮かんでくる。そこには植物が無制限に与えられる人工的な肥料から自立して、自らの栄養を確保していく姿がある。そして、そのような自立した生育の根底には根圏における土壌や微生物などとの共生関係が確立されなくてはならない。言葉でいえばたやすいが、このような関係を実現することは環境の制約条件などからなかなか難しいことである。
それは私たち人間のあり方についてもそうである。これまでのように何かに依存して生活が成り立っていた時代はもはや終焉を迎えているといえるだろう。長いものに巻かれろの人間は駄目になっていくということである。
全てが疑わしいこの時代に、私たちは自分の見識をやしなって物事の真偽を見きわめていかなければならない。そして他人と同じであることに安心を覚えるのではなく、自立した道を目ざす必要がある。一見孤立した道程ではあるが、そこには真の意味での共生関係がおのずと生まれてくることだろう。
話は戻るが、もし元素転換のメカニズムが植物の生育に関わっていると考えるのであれば、次のような問いに答えなくてはならない。ケルヴランは農学アカデミーでの論争で「元素転換が生じるのであれば、これほど頻繁に動植物の欠乏症が観察されることはないはずである」という批判を受けている。これについて皆さんはどのように考えるだろうか?夏休みの宿題としておこう。
| 固定リンク
コメント