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2007/04/27

合理主義者同盟

少し前のことだが、ケルヴランの論争に関する興味深い資料が新たに入手された。それはエルネスト・カハネによる「いわゆる生物学的元素転換について」という論考で、1965年にフランスの科学誌『シアンセ』に公表されたものである。

Apr27_19 このカハネの論考については『レゾ・プレザンテ』の論争の契機となったG・ゴアが言及しており、かなり以前から探していた。カハネはこれと同じタイトルの論考を1965年にフランス化学協会に提示している。そこでそちらの方の入手をオーダーしていたのだが、データベースの方では出てこなかった。

学会資料として残っていないのなら一般の科学誌では無理だろうと思いつつ再オーダーしていたのだが、思いがけずに今回の入手に至った次第である。

まだ最初の方を少し読んでみた程度なので、あまり明確なことはいえないが、E・カハネはオパーリンなどに関する著作もあることから生化学者だと思われる。『レゾ・プレザンテ』の記述によると助手のアリス・シノレとともにケルヴランに対する反証実験を行なったらしいが、今回の資料にはそれに該当する実験プロトコルは見当たらないようである。

カハネの文体はモノローグ調なので、アカデミー資料のような厳密な実験内容の記述にはなっておらず、それを行なった経緯やケルヴランの対応等について記載されている印象を受ける。これについてはゲゲンの場合と異なり、ケルヴランサイドの資料も見当たらないので事実関係を確認するのも限界があるだろう。

しかし一つ興味深いことがわかった。それはカハネ以前にも生物学的元素転換に疑問を呈した科学者がいるということである。1962年の『カイエ・ラショナリステ』という雑誌にレ・ストラとロワゾーという二人の学者が、ケルヴランの元素転換による石灰化作用は他の元素による脱灰作用ではないかという論文を提示したらしい。

この『カイエ・ラショナリステ』という雑誌は『レゾ・プレザンテ』と同じ出版社のユニオ・ラショナリステから出されている。(ちなみにユニオ・ラショナリステを直訳すれば「合理主義者同盟」である。)E・カハネは『レゾ・プレザンテ』の論客でもあり、その経緯からケルヴランへの批判に関わるようになったと推測される。

この『カイエ・ラショナリステ』の批判記事が発見されれば、ケルヴランに対してもっとも早く批判を行なった文献といえるだろう。しかしいくつかのルートで調査を進めてきたが、これまでのところこの文献は出てきていない。

だが諦めるわけにはいかない。私がそれを諦めるとき、歴史の真実は永遠に闇の中に閉ざされることになる。これまでケルヴランについていい加減なことを吹聴してきた有象無象とはわけが違う。この私が道を外れるわけにはいかないのである。

たどり着けばおのずと見えてくる景色があるように、私が意識レベルを高めていくなら、しかるべき時に事は叶うものと信じている。

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2007/04/20

ゆるぎない生命の営み

先日「異端審問」のオペが終了した。論文集への完成に向けて一つの大きな山場を越えた感じがする。いくつかの作業を平行して進めているが、翻訳とオペにほぼ一年がかかった。

現在翻訳を進めているツンデル論文が5ページ余りなのに対し、「異端審問」は実に13ページに及ぶ内容である。いかに激しい議論が行なわれたかがうかがえる。

何とか山場を越えたのはよいが、次に控えるのはエニン報告である。これまで私も様々な資料を翻訳してきたが、ステファーヌ・エニンのフランス語ほど難しいものに出会ったことはない。ケルヴランよりも年下のはずだが、エニンのフランス語には苦しめられている。

そこで柄にもないことだが、ひとまず休憩して花見に行くことにした。花見といえば世間では桜の木の下に場所をとり、宴会を催すことらしいが、私の場合は本当に花を見に行くだけである。

Apr20_17 少し離れた山間に足をのばして車を降りると、山桜が静かに佇んでいた。詳しい地名はわからないが、かなり以前に廃校になった山間の学校の運動場らしい。

かつては子供たちの声で賑わっていただろうが、今は訪れる人もほとんどないようだ。それでも桜は毎年その花を咲かせている。

神仏が宗教に縛られる存在ではないように、私たち人間も科学に束縛される存在ではないはずである。それなのに、人はどうして宗教にすがり、科学の枠組みに捉われるのだろうか。

桜の木のゆるぎない姿を見て、自分自身のあり方を返りみせられた春の午後であった。

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2007/04/13

MRETライフ

Mret1 MRETアクティベーターについては以前にも記したことがあるが、昨年以降いくつかの企業に打診しては見たものの、確たる反応は見られなかった。

MRETはすでに中国、韓国、台湾、シンガポール、タイなどに販売拠点が置かれており、アジアで残る市場は日本のみである。しかし、日本の水市場(?)は一定の飽和状態にあり、また特に活水器に関しては法制基準がないため、いかがわしい製品も流通している。

私も昨年スミルノフ博士に送ってもらうときには一抹の不安をもっていた。クオンタム・バイオテック社は代理店契約者にしか販売せず消費者個人に直接販売はしないのだが、私には特別にディスカウント価格で送付してくれた。

しかし送料や送金手数料などを含めると、それでも4万円近くの費用がかかった。現在アメリカの代理店では400ドル前後で販売されているが、それを輸入販売するなら5万円は越えるだろう。

巷にあふれる活水器はその効果を確認することができないものがほとんどだと思う。そのためMRETについても少し疑問を抱いていた。しかし、届いてから行なったミルクテストでは明確な相違が確認できたことは前回報告したとおりである。

それ以来、自宅でMRETを使わない日はない。水だけでなく牛乳や日本酒などあらゆるものをMRET化している。スミルノフ博士の論文に見られるようにアルツハイマーやエイズなどの難病に効果があるのかどうかはわからないが、とても重宝しているのは確かである。

飲料水としてはもちろんだが、ポリタンクにMRET化した水を貯めておいて毎日入浴に使用している。10リットル程度を加えるだけで格段の違いが実感できる。下手な温泉や入浴剤よりはるかに優れていることはほとんどの人が実感できると思われる。

またスミルノフ博士の論文にはMRET化した水のNMR画像が掲載されていた。それによるとMRETは水分子の水素を特性化する作用があるらしい。

そこで私はペットボトルに入れたガソリンをMRET化してバイクに投入するという実験を行なった。私のバイクはモリーニという縦置きVツインだが、構造上どうしてもリアシリンダーがかぶる傾向があった。デロルトのマニュアルを取り寄せて調整したり、プラグの熱価を変えたりしていたのだがさしたる成果はなかった。それがMRET化したガソリンを入れてからはそのような不調は出ていないのである。

ガソリンや灯油などの炭化水素化合物は水よりも水素の割合が多い。そのためMRETによって何らかの物性の変化が生じたと思われる。実際に発火点や粘度を計測したわけではないので断定はできないところだが、MRETを応用して燃費を改善する装置なども製造できるような気がする。

このような形でなかなか楽しめる製品でもあるのだが、現段階では価格が高いのと製品の作りがいま一つソフィスティケートされていないのが欠点といえるだろう。日本の消費者にはもう少し細かい配慮が必要と思われる。

私が個人的に輸入販売することもできなくはないが、やはり輸入手続の関係上高額になってしまう。特許も取得されている興味深い技術製品なのだが、日本市場に導入するにはまだ少しハードルが高いことが惜しまれてならない。

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2007/04/06

L・ランドワの実験

最近のことだが、少し前にゲゲンと連絡を取った。ケルヴランの初期の著作に引用されている研究について質問したいと思ったからである。

Feb1426 『生物学的元素転換』を読まれた方は目にしていると思うが、ケルヴランの第三作『微量エネルギー元素転換』には骨折したラットのX線写真が掲載されている。このラットの実験は実はケルヴランによるものではなく、L・ランドワという研究者によるものである。

ルーシー・ランドワはビタミン欠乏症の研究などで知られる栄養学者だが、ケルヴランと同じくしてセーヌ川衛生評議会のメンバーでもあった。そのよしみかどうかは知らないが、ケルヴランは彼女の研究を引用したようである。

この実験は、骨折したラットにカルシウムを含む通常の飼料を与えた場合と珪酸のサプリメントを与えた場合を比較したもので、珪酸を与えたラットの方が急速に骨折部が癒合したというものである。ケルヴランはこれを珪素からカルシウムへの元素転換を実証するものとして取り上げている。

ところがゲゲンによるとこれは元素転換ではないという。通常の飼料によって珪酸が欠乏していたラットにサプリメントを与えたため、骨芽細胞の元となるフィブロブラストの形成を促進し、ムコポリサッカリドによるコラーゲン質の癒合が進んだためであるというのである。

ちなみにゲゲンは動物における燐とカルシウムの代謝の専門家である。そのため、このランドワの実験についても何か知っているかもしれないと思い連絡を取ったのだが、ランドワ自身の論文については情報は得られなかった。

私はゲゲンに、いずれにしろこの実験に関するランドワの論文を調べたいといったのだが、彼は「ne perde pas trop temps」と返してきた。これは「時間を浪費するな」という彼なりのアドバイスで、これまでにもたびたび聞かされた言葉である。

私はアドバイスには感謝するが、それは少し遅すぎたようだと答えておいた。なぜならケルヴランの翻訳と調査にすでに22年を費やしているからである。

ゲゲンの言葉にも一理あるかもしれない。しかしランドワの論文が確認されていない現状では、無前提に元素転換を否定することもできないだろう。

暗黒時代に秘密結社が作られたのは、盲信によって救われないことを悟った人々がいたからではないだろうか。

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